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コミックマーケット76 2009年8月14日~16日 東京ビッグサイトにて開催 東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object. 発表 サークル名 CD名 404 Not Founds カミカゼファンタジア -月- ⑨ウリバタケ わんぱく弾幕っ っ´Д`)っゼロ式の家 Crazy Trancy Ecstasy A-HEAD 籠リ謳 A-One POD JACK Aftergrow colors of soundscape ALiCE S EMOTiON COLORS Alstroemeria Records Fragment Reactions AniPix Sensitive Moment 1 Chain AQUAELIE あくえり! AQUA STYLE 東方奇奏曲 Aria Rhythm カリスマ As/Hi Fantaisie Orientale Attrielectrock MAGDALENA Attrielectrock with Q-BIT colors_stratosblue BubbleRecords fiori C9 Odyssey C.S.C→luv 文々衛星 C-CLAYS 遊穹 U-KYU Cherry Lunaburst フォールオブピンクフォール chipion スカーレット・ディスコ clear quartz 東方響乱樂 COOL&CREATE 東方サマーフタリ CrossGear 東方疾奏曲 CYTOKINE bifurcation Dark PHOENiX ShotShell III DDBY Touhou Synthesis 3 紅マジック Disaster 東方幻想麻雀オリジナルサウンドトラック Discord Registers Find Her Match Driving Kitchen 東方切裂魔 Dropの小屋。 東方バロック紀行 EastNewSound Lucent Wish EcN FULL-TENSION SHOOTERS コミックマーケット76限定無料配布ディスク ego☆trip KALEIDOSCAPE Einherjar Records Prologue eS=S cut-a-rouge False&Trues technological flap+frog confeit e.p. Floresta Prateada fragments of evolved Fluid Stance Isolated Times Foreground Eclipse Foreground Eclipse Demo CD Vol.02 FOX RAVEL Magic Magical Night Fragile Online 星蓮船バンド AbbeyRoad free-logic First-Logic Frontier Records Wind GAくらぶ 東方幻想封魔録 Girl s short hair 幻想夜景 Golden City Factory 東方ミッドナイトMAXIMUMTUNE EXTRA STAGE 零 Golden Pe Done 2nd EP GUNFIRE TOHOBEAT FLASH -Fourth Beat- Halozy Crescendo Planet HAPPY CLOVER 幻想夢花火 Iemitsu. Re1-M- Re2-Y- Re3-C- Innocent Key 東方サマーバケーション IRON ATTACK! FAR EAST JUDGEMENT J&B 有閑アリスの妄想 Girl s Phantasmagoria k-waves LAB 風萃めのシャルモ karkan Rebirth KARMART JIGSAW Key Music 東方見聞録 九ノ巻 KINZOK ON Bug core Kissing the Mirror Fatal Scythe s Awakening Kota-rocK Birth of Fire Kraster 東方嵐漫華 Lapis moss 花蝶風月 -preview- Levo Lution Skyrise Liset 恋の弾幕ストラックアウト! little white snow とうほう! 桜華抄 Liz Triangle AQUA LunarComet 東方麗魅嬢 ~Toho Remilia~ M2ind Manufactory Remains ~幻想懐郷~ M3tamix Records TOHO BEATRONIC - red purple - M-style 蛙宴 Music Load 魔法の森の音楽祭 N.K.T.Kid Enjoy Driving!! with 東方project Pizuya s Cell x MyonMyon Nuclear Blast Pocket AD 東方ロマンティック・ゴシック Presence∝fTVA Presence∝fTVA 2009 summer Q-BIT CLEAR TONE QLOCKS 紅色の繊か RegaSound Nostalgia Rolling Contact 禍魂艶夢 Ruxia Astrometry RW Fateful blossoms rythmique Breezy Storm ShibayanRecords MyonMyonMyon! Silver Forest 東方ノスタルジア 東方夢想連歌 Sing, R. Sing! こうまかん☆ぷぺぽー(プレビュー版) SJV-SC Best Wishes.. Sound∞Infinity SEVENTH HEAVEN SOUND HOLIC 地 -KUNI- SOUND OCTA 東方幻星録 Sound Online NOSTALGIA Sounds of Liberation 客星狂想曲集 Sonic Hybrid Orchestra TOHO TEMPEST IV Starsand Sounds Laboratory☆ 星之幻想楽曲集2 ~まともにアレンジやりなさいよっ!!~ surreacheese NATURAL SYNC.ART S REQUIEM Re miniscence~幻葬は追憶の彼方へ~ t=NODE 四季 -夏- Illusion of Sky TATAMIStugiwo Baroque Stroke ~東方クラシックス2~ TatshMusicCircle FAR EAST OF EAST the blankets Wake up and go on a trip! UFO County ゆうかりんの情騒教育 ゆうかりんの氷闇蛍雀 ゆうかりんの零壱映姫 ゆうかりんの電気式神 ゆうかりんの温泉旅館 ゆうかりんの嫉妬機構 ゆうかりんの疫病災厄 ゆうかりんの犬走椛狩 叢 凶 夭 UI-70 the Gift Undefined Field すれ違う季節 UtAGe 東方詩循詩歌 -marvelous three days- WILD CAT RECORD 東方死奏曲 XL Project the end of the world the last hope Zephill 博麗神社の神隠し 茜提灯 act 1 亜紅紫 SPIRAL NODE A・WA・I・RO あすとらるTrip 幻想郷ミソギバライ アドレナ義塾 サトリ サトラレ 荒御霊 SpellCore ACT6 -Philosophia 荒御霊 VS モヒカンサンドバッグ 綺想PSY / マジックキック アルトノイラント 七曜式魔法序論 アルトノイラント中期作品集 いえろ~ぜぶら 東方彗麗歌 ~Orbit of Diffusion~ イオシス 東方年柄年中 うんちく商事 OrienKlad オーライフジャパン 異臭幻想狂 岡垣正志&フレンズ SCARLET FANTASIA Ⅲ 音召缶 Border of Scarletech 東方音対無 -第壱局- かも 東方琳瑯華 オリジナル・サウンドトラック 君の美術館 dialogue~Starry Nightmare~ グーシャンダグー e-Lfingate クラゲノボーン 東方大噴火 霧雨魔理沙の憂鬱 恋色屋 萃奏「恋色夢花火」 黒夜葬 Catharsis 時雨月横丁 東方フィルファンタジー交響楽団 ししまいブラザーズ 暑中見舞 死際サテライト 純潔ロンリネス 松樹千年翠 東方歌宴郷 ~SUMMER FESTIVAL~ 小龍包 Pink Noise Nostalgic 巣鴨北口店 東方超宴会 石鹸屋 東方Lv.20 瀬戸八十八夜 Trinity セブンスヘブンMAXION 東方恋想郷 ~Grazing Heart~ そぉい(笑) 酩酊幻想郷 速鋼鉄-Speed Metal Sound- I LL SEAL YOU / マスパズム 魂音泉 東方流星少女 ~Little Shooting Star~ だんだん組 東方落語魔理沙出世だぜ! 冷猫 Ciel でんしほたる 東方鼠王国 燈音藝術集團 Far East Chronicles 東部開拓地 フルキヨキ 毒霧 魘 -En- 白楽亭? 無条件相対性理論? はちみつくまさん 東方SMILES ~トウホウスマイルズ~ メガブラックレーベル 発熱巫女~ず アンチェインドメロディ 鳩小屋SPRING GrimGloom パンの耳のもっとはじっこ 彼岸月 ふぉれすとぴれお T★GIRLS.02 ほりっくさーびす エネルギー冷麺 もうこはんっ! 文鳥Online。 Underground Lovers 舞風(MAIKAZE) 東方霊宴談 モヒカンサンドバッグ M.M.T 幽幻屋 二律背反 ユウノウミ 東方ヘクトパスカル
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手首をひとつに纏める紐。自室のベッドの上、詩音はそれを寝ぼけ眼で観察していた。 ことの発端は魅音が泊りにきたことにある。そのときは、まさかこういう事態になろうとは予感だにしなかった。 魅音は人前では邪険にしてくるけれど、ふたりきりになると不器用なりに甘えてくる。 今日のお泊まりもそれだと踏んでいたからだ。 もちろん予想はあたっていて、ことあるごとにべったりとしてきた。 そんなこんなで夕方、部活疲れからうとうとする魅音をベッドに置いていこうとすると、 ひとりにされるのは嫌だといじらしく言い出すものだから詩音は彼女の隣に横になった。 すると数分もしないうちに睡魔に襲われ、がさごそと物音がして起きると、このありさま。 「くっくっく……油断したね、詩音。敵を前にして寝るのはいくらなんでも無防備すぎるよ」 「私より先に寝てた人に言われたくないです」 沈黙。 「あれは、寝たふりで。ん……」 「わかりました。お姉は狸寝入りして油断させておいて、私が寝たのを見計らうと手を縛ったんですね」 「そうそう」 詩音の言葉に魅音は腕を胸の前で組みながら頷いて、一瞬曇っていた顔は明るさを取り戻した。 そんな彼女に気づかれないよう、詩音はため息をつく。 「で……なんのつもりですか?」 黄昏時の部屋は仄暗い。 風にはためくカーテンの隙間から射しこむ光の線を、詩音は何の目的もなく見つめていた。 橙色が、まどろみを誘う。 しかしベッドの軋みによって意識は引き戻された。 「私が詩音を攻める」 「へぇ…めずらしい。がんばってくださいね、お姉」 さらに軋む。 すでに壁ぎわにいた詩音がうしろに下がることはなかった。 たとえそうでなくても、彼女に逃げるという選択肢はなかった。はじめから選ぶつもりさえなかった。 太陽は沈みかけているといえども、真夏の暑さから無造作に開かれた襟を分けて、伸びる喉が鳴った。 握り固めていたこぶしは解かれた。指数本が詩音の頬を這い、覆っていく。 まるで触れていないかのような軽い接触。詩音は自分から顔を寄せる。 掌は心なしか湿っていた。それの持ち主を、双眸が涼しげに見据える。 軋む。遠のく音だった。 「まずは呼び方からだよねぇ……『お姉』じゃなくて『魅音姉さま』って呼びな、詩音」 「長いから嫌です。呼ぶのがめんどくさい」 さらりと流され、魅音は声を出さずに吃った。 「まあ、どうしても呼んでほしいって言うんなら呼びますよ」 「そうじゃなくてさ」 「それはそうと……どうして、命令してるくせに弱気なんですか?しかも恥ずかしがってるし。 これじゃあ、お姉は、自分で自分を言葉責めしてるのと変わらないと思いますけど」 「え……や…あの……」 「ほら、また。仕方ないですね。私が攻め方ってやつを教えてあげます」 詩音は傍へ来るよう言った。状況が呑みこめないまま魅音は距離を詰める。 次の瞬間、縄のような腕をかけられて、とっさの出来事に反射的に声を出しかけた魅音だったが、すかさず唇を塞がれた。 抵抗しようものなら、隙をつかれてしまう。これより深いものが待っている。 なかなか行動を起こせないでいた彼女に、ぐいと引き寄せる力は対応できるはずもなく、膝の上にへたりこんだ。 バランスを崩して体が傾くと、そのまま柔らかい場所に落ちた。 唇は冷たい。 「さっき、こうするつもりだったんでしょ?」 毎日のように見るあの狡猾な調子で言い放ち、楽しそうに笑う詩音を前にして魅音はうなだれた。 「なんで、こう…………なるかな。もう」 「もう、やめる?」 割りこまれて行き場をなくした言葉はため息になる。 視線が交差するまで体を起こすと、間近に詩音の顔があった。 ほんの少し真剣に見える。でも今にもほころんでしまいそうだった。 きっと、からからと笑うに違いない。口許は緩みかけている。なにより言葉が、挑発的だった。 本日二度目のため息をこぼし、魅音はシーツの端を掴むやいなや身を乗り出す体勢で、唇を重ね合わせた。 腕で囲った、ただでさえ狭い空間でさらに密着する。そのうえ噛みつくように押された詩音は壁にもたれた。 下唇を何度か力をこめずにはんだあと、魅音は顔を傾けて口付けを深くする。 そのとき、ぎゅっと握り締める手を視界の端にとらえ、詩音は唇を開いた。 そして、先に侵入したのも詩音だった。 ようやく決心がついて伸びようとしてきた舌を絡み取る。 ゆっくりと、押しつけては引き押しつけて引いて柔らかさを堪能する。 生温かいものが口内を満たすが、いつになっても異物として感じることはなかった。まるで最初からあったかのよう。 不意に、また一緒になれる気がして、何度も何度も絡め合った。 それが激しくなって、頭の中で響くようになると、思考は溶けかけていた。 「ふぁ……、すとっ…ぷ。ちょっと、きゅーけい」 唇を離した魅音は、かすれ声にしてはずいぶん水気を帯びさせていた。 その表情を詩音が窺うことはできない。魅音がうつむいているからだ。 見えるものといえば、ほんのり紅い彼女の首ぐらい。 そこに口を寄せると、小さく震え、詩音が吐息する度に肩を竦める。 「だから休憩って………ッ」 耳の縁を熱のこもった塊が挟み、今まで外気にさらされていたそこを温める。 口に含んだ。ざらざらとした舌先が耳の付け根をねぶり始める。 徐々に触れてくる面積は広がっていく。ねっとりと、ぬめり気をすりこまれて、水音が大きくなる。 自らの熱を見いだした耳は真っ赤に色を変えつつあった。 「…濡れちゃいましたね」 「こんなこと、するから……」 「ああ、そうですよね」 そう小さく笑うと、音を立てて一度だけキスするのを最後に耳から離れた。 ふと跨いでいた太ももが浮いてスカートを持ち上げるのと同時に、魅音は足を弾くように閉じた。 「ち、ちがっ……そっちじゃなくて、耳のことだって!」 「嘘ついてもいいことないですよ」 「だから違うっ」 「はいはい。キスはうまくなっても、こういうとこは本当にダメダメなんですから」 嫌味ではない。本当に心の底から思っていた。 ただ、前者に関しては、上達したというよりも、マシになったと言うべきかもしれない。 不意打ちすると唇を噛まれる。たまに珍しく彼女の方からしてきたと思えば歯をぶつけられる。 そういうことが少なくなったにすぎないのだ。 最近、自分からしてくるようになったのも大きな進歩。 けれども、からかわれてむっとするところはまったく変わらない。 そうやってすぐ大事なことを忘れてしまう。油断する。 無防備な場所は強く圧迫された。 「やめ…っ………」 逃げようにも、詩音の腕が腰を捕らえていてどうしようもない。 彼女の手首を縛る紐をきつく結んだことに魅音はひどく後悔した。 さきほどからスカートの裾はめくれていたために、少し足を動かすだけでよかった。 遮るものは一枚の布しかない。 鈍い刺激に苛まれる。 「っん……やめ、て…よ」 「もうちょっと強いほうがいいですか」 「そんなこと…言ってな……あぅっ…」 詩音に抱き寄せられてからだがスライドしてしまい、腰を浮かそうとしたが彼女が見逃すはずもなかった。 幼い子どものように扱われて、いくら抵抗しても意味がない。 強引な責めを余さず受けていると、いつしか声は甘ったるくなってこぼれた。 それからは、とてつもなく強い力で腰が動されているのだと魅音は思っていた。 しかし、詩音の腕に動きがないことに気づいた。 途切れない刺激を求めて、腰が前後を行ったり来たりを繰り返す。 その一連の動作を見守る視線に耐えられず、また一心不乱に快楽を貪る姿から目を背けたくて、詩音の首に抱きついた。 赤く染まった耳に唇が触れる。 「嫌がってたくせに。結局自分から腰振ってるじゃないですか。ねえ、魅音」 「ぅ…あぁ…ごめ…っん、なさい…」 「言いたいのはそれだけ?」 「……………もっと…気持ち…よく、なりた…い………」 詩音は何も言わない。 「っあ………指で…ぐちゃぐちゃ、に…し、て……気持ちよくなりたいです…」 魅音はおずおずと腕を解き、真っ向から彼女を見つめて乞う。 返事がなくても彼女はまた懇願するつもりでいる。 プライドを捨てきったその様子に、詩音は満足したようだった。 「いいですよ、お姉の気持ちいいようにしても。あ、もしかして私がいると邪魔だったりします?」 「い…いて、詩音。……詩音、に……見てて…ほしい…っ」 「そこまで言うなら、見物させてもらいます」 嘗め回すような視線を向けられ、魅音は自分が何を口走っていたか今ごろ思い知って身震いした。 それでも、まったく歯止めにはならなかった。 おもむろに下着をずらして指を這わせれば、くちゅと音がする。 左右に押し広げて小さくも張り詰めたものを指圧する。 その直接的な刺激に思考は飛びかけたが、すでに肉欲を優先しているからだは無意識に行為を続ける。 つぶすように擦る度に秘部は熱を持つため摩擦を緩めるけれど、冷めるどころか焦らすことになってしまい余計に昂ぶる。 魅音はその衝動に負け、秘肉を滑りながら滲み出す蜜を指に絡め、挿しこんだ。 「んぅ………は、ぁ…っ」 きつく締まる内部をゆっくりと進む。 待ちわびた挿入で押しこんだのか引きこまれたのか、付け根まで埋まるのにそう時間はかからなかった。 有り余った潤滑油が指の間を伝う。 はじめは抜き差ししてほぐす動きが、柔肉の重なりを掻き分けるものに変わった。 だんだんと膣壁は柔らかくなる。 だいぶ深くまで指が届く頃には、波のように快感が打ち寄せてきていた。 「あぁっ…ふ…ぁ………」 円を描いて掻き回すのに合わせてくちゅくちゅと音が鳴る。 受け入れられてかなりの水分を含んだ指が、ほぐれて広くなった中で、肉壁を擦り上げることは稀だった。 次に侵入するものを求めて、愛液が詩音の太ももにまで漏れ出した。 「一本じゃ物足りないんじゃないですか」 「…ぅ、ん……」 濡れすぼまったそこは二本目をいとも簡単に飲みこんだ。指一本分だけといえども質量が増え、自慰は穏やかになる。 耳を澄ませばわずかに乱れた息遣いが聞こえるだけ。 それが面白くない詩音はほんの少し膝を立てる。か細い嬌声が上がった。 「あっ、詩音、うごか…ないで……奥にっ……あた…って……ふあぁっ」 「気持ちいいんでしょ?嫌がる必要なんてないじゃないですか」 「…だ…って………これ以上…激しく、したら…ッ」 「──お姉ちゃんに見せて、あんたがイクとこ」 そう言うと逆らえなくなることを、詩音は知っていた。 魅音は瞳を揺らしたが、頷き、せり上がってくる熱に蝕まれていくからだに追い打ちをかけた。 粘着質な音が部屋中を満たす。 恍惚とした表情で手淫に耽る魅音へ、詩音は熱のこもった眼差しを向けていた。 腕のなかで背中が弓なりにしなった。 聞こえるか聞こえないかの細く甲高い声を上げて、ぎゅっと股を閉じ、小さく震えた。 それがおさまると魅音は静かに詩音にもたれかかり顔を胸に埋めた。 弱々しい呼吸で肩をせわしなく上下させている。 火照りもほとんど引き、麻痺していた触覚が元に戻り始めると肌を濡らすものに気づく。 透明でぬめっているそれは、詩音の太ももにまで惜しげなく染み渡っていた。 「お姉のせいでこうなってるんですよ。わかってます?」 魅音は腕をすり抜けて名残惜しそうにしていたが、しばらくして硬いベッドへ降りた。 その瞳は陶然として詩音を映す。 睫毛を伏せ、膝元で屈む魅音を眼下に詩音は吐息した。 ぴちゃぴちゃと水をすくうように聞こえる。 血の気の通った唇から覗く赤々した舌先が、剥き出しの肌を撫でていた。 小刻みに。軽く。ときどき吸いつく。 膝を持ち上げる手に合わせ、両足は起こされ左右に分かれた。 唇が押しついたまま裏側へ移動する。 弾力性があるため感覚の鈍くなる表面と違い、そこは薄い皮膚を隔てて唇の温もりを感じることができた。 熱気を帯びる舌がひとたび触れてしまうと火傷するような錯覚さえ覚える。 肌に残されたいくつかの赤い痕のせいで、詩音はそう思わずにはいられなかった。 すでに太ももを濡らすのは愛液ではなくなっていた。それでも、毛づくろいに近いこの行為は執拗に続く。 「…お姉」 痺れをきらして詩音は片割れを呼んだ。 面を上げつつ魅音は彼女の手首を絞める紐の結び目を摘もうとした矢先、一歩手前で指数本を握られた。 捲れ上がったスカートの下へと導かれようとしている。 それに戸惑った魅音だったが、詩音のすがるような目を見るなり振り払える力に手を預けた。 いざなわれる最中、再度焦がれた声に呼ばれて魅音は頷いた。 そこは冷たい太ももとは一転していた。ただ触っているだけで掌がじんわり温まる。 指で布をずらせばぬらぬらした姿を現した。 その茂みの奥へ舌が這う。 「……ん…っ…」 他のからだの部位とは比べものにならないほど柔らかい。 その中でも一番柔らかかったのは、濃い桃色のついになっているひだ。 ぴったりと合わさっていたそれは、詩音の息が弾むにつれてふっくらとしていった。 不意に埋もれていた肉芽を舌先がかすめる。 すると詩音は脚を閉じかけたが、あいだにある頭に邪魔をされてできなかった。 ひときわ突出している芽すれすれに動く舌先。 それがたとえ触れていなくても詩音は喘ぐ。 愛撫されていないときでも、彼女のからだはひとりでに昂ぶっていった。 「こんな感じで…いいの?」 「……それぐらい………じぶんで、考えてくださ…い…」 必要以上にぶっきらぼうに言った。語調には熱っぽさがたまにちらつく。 それに気づけない魅音は閉口したが、しばらくすると重みをつけてまた顔をうずめる。 はずみに魅音の目に入った顔はせつなげだった。 たった数分見ないうちに、秘所は乾くどころか潤っていた。 艶の出てきたひだの中で肉芽は固さを増して主張している。 魅音はもったいぶらなかった。小指の先より少し小さいくらいの表面を舌で削るようにする。 なめらかなそこにざらざらしたものが擦れる。 そのまま絡み取られてしまえばどんなに楽だったか。 隠すことのできない箇所を何度も舐め上げられるのに耐えるしかなかった。 「…やっ……んんぅ」 甘い声を漏らしかけ、詩音は口を腕に押しつけて塞いだ。 声は運良く水音に埋もれたが、詩音にとって、静かな部屋にこの状況でいることはためらわれた。 「おねぇっ……はやく、…あれ…して……」 「……う、うん」 詩音に急かされて下着を脱ぐ暇はなかった。すぐに互いの足を松葉のように交差させて絡める。 仰向けに寝た詩音の足のあいだに魅音は割り入り、秘部同士を重ね合わせた。 スプリングが鳴る。 下着に阻まれて直接的な摩擦は望めなくても、それで十分だった。 さきほどの愛撫で敏感になっており、詩音は魅音の動きひとつひとつに反応を見せた。 「…っ…く、……んぅ…」 かたくなに詩音は声を出すことを拒んでいた。 しかし、次第に、引き結ばれた口は開いていった。 無理に抑えているためにからだの奥でこもる甘い声に、詩音はかすかに頬を染めた。目から鋭さは消えていた。 その表情を魅音に見られまいと横向きになる。 そして、耳を犯しにくる音を染みこませたいとばかりにシーツにすがりつく。なるべくこぼさないようにと縮こまる。 魅音は力の入らなくなってきたからだを支えるために手をつき、覆いかぶさるようにした。 それで見上げてくる詩音と目が合い、息を呑んだ。 「…詩音」 「なん…ですか」 「あのさ、…ん……」 「…疲れた、とかですか?……いいですよ。交代してあげても」 もじもじする魅音を前にして詩音は笑みを浮かべるが、やや引きつっていた。 「──詩音、かわいいなって」 顔を赤らめて言った。 そんな彼女から詩音はすぐに視線を逸らした。 手近の枕に顔を押しつける。ひとことも漏らさず、薄暗いなか、手前の影に焦点を縫う。 突然、腰が引き寄せられた。 「え?…待…っ……あぁっ…」 仰向けの体勢にされ、真っ向から秘部が重なる。 今までより深く擦り合わせることになった。 湿りに湿った下着の向こうの、ふにふにとした互いの感触がわかる。 何度かそこを擦り合わせていると、たまに固い部分同士が当たる。 その瞬間、からだはカッと熱くなる。 あと少しで達するというところで、魅音はぴたりと静止した。 欲しいものが与えられず、秘所は疼く。 それでも詩音に悪態をつく余裕はかけらもなく、潤んだ瞳で魅音を見上げた。 「一緒に、イこう……詩音…」 詩音のからだを熱が下がるまで動かなかった。 熱はすぐには冷めない。満たされないままでいるのは、とてつもなくもどかしい。 やっと冷めても少し責め立てられただけで熱はこみ上げ、果てようとしたのを魅音に感づかれて放置される。 それが、何度も何度も、繰り返された。 「……あっ、も……むり…っ」 幾度にもわたる行為に詩音は耐えきれなかった。 感情を露にした涙声で、いやいやと首を振る。 そのとき、魅音に抱きすくめられ耳元で囁かれた。詩音は目を固くつぶって力なく頷いた。 ベッドの悲鳴を微塵も思わせない騒がしい粘着音が、室内に響き渡った。 誰のものかわからない吐息、艶めかしい声。 欲望のままに腰を振った。 「あん、ふぁっ、…あぁ……ッ」 「…ん、はっ……しおんっ、しおん………ああっ」 今にも溶けて入り交じってしまいそうになるほどからだを重ね、共に絶頂を迎えた。 「──というわけでしたけど、上手に攻められましたか?」 「へ?」 しゅるりしゅるり。紐をほどいたところで、魅音は間の抜けた声を出した。 詩音は薄く縛り跡の残った手首を見て眉を顰め、向き直る。 「お姉が攻めやすいようにしおらしくなったり、リードしてあげたりしたじゃないですか」 「え?ええっ、なに…それ」 「私がお姉相手にあんなに女々しくなるとでも?全部演技ですよ、演技」 多少苦々しく詩音は言い放った。 自由の効いた手は、今までの反動で、リボンやら襟を緩める。 汗ばんだ肌に張りつく髪を掻き上げて、風の吹きこむ窓に視線を移した。 途中目にした魅音の様子に、怪訝さを包み隠さず押し出して振り返る。 「どうして赤くなってるんです?」 「……なんか、さっきのこと、思い出して…」 あまり恥ずかしさを匂わせない表情。 気に食わないと言わんばかりの眼差しを詩音は灯した。 ふと魅音が詩音に向いて、さらに顔を上気させる。 それを目の当たりにして詩音は黙りこくった。 数分経つと、ベッドから降りてすたすたと早足でこの場を去ろうとしたが、立ち止まる。 「シャワー浴びに行きたいんで、離してください」 「一緒に……入っていい?」 「やけに積極的ですね。風呂場で襲おうとか考えてません?」 「なっ……そういうわけじゃないってば!ただ、たまには…………ってだけで」 魅音の方からあきらめるのを待って歩いていた。 しかし未だに服の裾を掴んでうしろからついてくる。 その姿を認めるなり詩音は大袈裟にため息をついた。 「いいですよ、別に」 「…ありがと」 屈託のない笑みを向けられて、詩音は咳払いした。
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関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
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【ショベル】 前原圭一に支給。 前原圭一が死体を隠蔽するための穴を掘ることに使用したショベル。祟殺し編にて使用 【ゴルフクラブ】 前原圭一に支給。 前原圭一が祟殺し編にて父親から借りた何の変哲もないゴルフクラブ
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夏の終わりの続きです。 ==== 目を覚ました時には診療所のベッドで寝ていた。過呼吸と栄養失調が重なったんだと、梨花が監督に話をしていた。 気を失う前に私を呼ぶ梨花の声が嬉しかった、私を抱きすくめてくれた時に触れられたところがまだ熱く感じながらぼんやりしているとカーテンをあけて梨花と監督が足音が近づいてきた。 「みぃ~☆沙都子起きて大丈夫なのですか?」 「え、ええ…ご迷惑をかけてしまいましたわね…」 「いいんですよぉ~沙都子ちゃんのすべすべお肌に触れられるだけでこの入江は満足ですから」 「みぃ~沙都子、寝てても作動するトラップを仕掛けるのですよ☆」 「アハハハ診療所にトラップとはおちおち診察も出来ないですねぇ~」 「沙都子の身の危険を守るのが第一なのです」 「そうですわね…」 そんな他愛無い話を久しぶりにするだけでも固く閉ざしてしまった心が開かれるような気になっていた。このままなら多分何事もなかったかのように振舞うことが出来る、そう安堵しかけた頃監督が席を外す。途端に口を紡ぎ、掛け布団に視線を落とす。遠くでひぐらしが鳴いている。もう夕方か。 突然梨花の小さな手が私の頬に触れた。あわてて顔をあげると梨花が穏やかな笑顔で私を見つめる。 「沙都子、ボクに何か話があったのではないのですか?」 「え?」 「お探し猫さんだったのです、にゃーにゃー」 ―ヒクッと身体が突っ張る感覚が走る。 確かにあの時私は自分の梨花に対してのもやもやとしたものがあるというのを梨花に話したかった。話したらきっと梨花なら分かってくれる、あわよくば答えを教えてくれると思ったぐらいに。 前みたいな関係に戻りたかった。隣で梨花が笑っていて欲しい、私の作ったご飯を美味しいと言って食べて欲しい。それが出来ない全ての原因である私から歩み寄る事で、すぐに実現するとなると楽しみで仕方なかった。 そして気づいてしまった。 ―私が梨花を好きだと言う事が。 今になって思えば梨花に対しての思いが恋心なんて誰に聞かなくたって分かるくらいに梨花と私の間に入るもの全てに嫉妬していた。そう、黒いもやもやとした感情は嫉妬という名の負の感情。だからきっと赤坂さんに対しては梨花がここぞとばかりに嬉しそうに語るからその想いが特別強かった。 答えを知ってしまってから、なぁんだそんな簡単な事なんだと思えた。簡単な事だけどとても苦しいものなんだと気づくのに時間はかからなかった。 ―答えは簡単。私が女で梨花も女だから。世間一般的に異端ではないかと思う。だって女の子は男の子と一緒にいるのが普通でしょ?魅音さんが圭一さんを、詩音さんがにーにーを好きになるのが普通でしょう? 女の子が女の子を、私が梨花を好きになるという「普通」ではない想いは誰にも知られてはいけないんだと思った。 この想いを梨花に知られて梨花に軽蔑され、冷たくされるのが、一緒にいられなくなるのが怖かった。 雛見沢の人たちが冷たかった時、梨花がいてくれたから辛くなんかないんだって思えたし梨花が一緒にいてくれるから何だって出来たんだと思う。だからそんな梨花と一緒にいれなくなるのが怖かった。 ――この想いは絶対梨花には悟られてはいけない!!絶対に! 「え、あぁ…ごめんなさい何を話そうとしていたのか忘れてしまいましたわ…」 「…みー?本当なのですか沙都子」 「ええ、なんだか思い出せませんの」 「沙都子、ボクの目をみるのです」 じっと私の目の奥にある何かを知ろうと漆黒の瞳が私を射る。目が離せない。私はいつもそうだった。 嘘をつくと梨花にこうやって目を見据えられていつもごめんなさい、と謝っていた。だからいつからか梨花には嘘をつくことをしなくなった。出来なくなったという方が正しいのかもしれないけれど。 梨花の瞳は大きくてとても綺麗で、問い詰められている状況なのに梨花の瞳の中に困った顔をした私がいてキラキラと輝いて素敵だった。 フと、固い表情を和らげた梨花が言う。 「沙都子…痩せてしまったのです」 「ふぇっ!?」 「自分では分からないのですか?ほら―」 ―ふわり。視界が黒に覆われたと同時に私と同じシャンプーの匂いと梨花の匂いが混ざった甘い香りが鼻腔をくすぐる。 「…こんなにも簡単に腕がまわせてしまうのですよ、にぱ~☆」 「…り、梨花」 「沙都子に触るのは久しぶりなのです…実に暖かいのです」 鼓動がはやくなる。体中の血液という血液が一気に頭に巡ってくる。目の前の梨花の髪からは甘い匂い、耳元で私に囁やきながら聞こえる少しかすれた声、伴う吐息、私を包む梨花の柔らかい肌が…!!!! 好きってわかっただけでこんなにもおかしくなってしまうものなのか? ――梨花ってこんなに柔らかかった!? どくどくと血液が流れる音がうるさい、うるさいうるさい逃げろ逃げろにげろにげろ逃げてこの想いどこかへ捨ててきてしまえ! 前の幸せな毎日に戻れるためなんだから!梨花と毎日笑って過ごせるんだから! 「…ゃ」 「沙都子?どうしたのです―」 「―めてっ!…やめてくださいまし!!!!!!」 ドン、という音と共に弾き飛ばされた梨花が床にしりもちをつき、何が起こったのか理解できない梨花は目を白黒させてうろたえていた。 「さ、…沙都子…?」 「~~っ! わ、私に触らないで下さいませんこと!?」 「………え」 かっと瞳を見開いた梨花が私を覗く。心なしか顔が蒼ざめている。言い過ぎたと思っても時既に遅し。梨花は自分に対しての拒絶反応をなんかの発作か何かと思って私を安心させようとするためか抱きしめようとする。 今の私は梨花に触れられてはいけない気がした。だから両腕を大きく振り被り私に近寄ってくる梨花に触れられないように一心不乱に腕を振る。 ――こないで、ごめんなさいこないでこないでコナイデお願い梨花を傷つけたいわけじゃないノだからお願い気づいて。私が貴方を嫌いだから近寄らせたくないワケジャナイ、アナタが好きだから。触れられるのがコワイカラ…アナタに触れられてしまったら私はもう気持ちを抑えられない!ダから、お願いごめんなさい気づいてゴメンナサイゴメンナサイ ドタンバタンと大きな音を立てて暴れていたため、監督が注射器を持って私の元へ駆け寄った。 ケンカは強くなさそうだけど、監督だって成人男性。だから私の抗いなんかは簡単に取り押さえられてプスリと注射をされる。多分麻酔か何かかもしれない。注射をされてすぐに眠気が襲ってきた。 うつろいゆく意識の中で梨花と監督が話している、どうしてこんなことに?ボクが悪いのです、ボクが全部悪いのです。 そう伝える梨花の声は泣いていたよう、に 感 じ た―― ――――― 自分の梨花への気持ちに気づいて以来、拭い去ることなんか出来なくて日に日に想いを増すだけだった。 先日知った黒い感情、嫉妬の気持ちも強くなるだけで私がしたくても出来ない事を平気でしてのけてしまうレナさんや魅音さん、圭一さんや赤坂さんには悪いと分かってはいてもついつい冷たい態度をとってしまっていた。 そしてその対象となる梨花に対しては私の気持ちを悟られたくないがために、素っ気無い態度をとるしかなかった。 本当は梨花の髪に触れて滑らかさを知りたい、身体に触れて温かさを知りたい、目に映っている私を見てみたい…欲望は尽きないというのにそれが出来ないことが辛くて、梨花の姿を見るのも辛いくらいになっていた。 だから出来るだけ梨花と二人きりにならないように学校から帰ったら何かしら言い訳をしながら出かけるのが日課になった。 それでも「あの頃」決めた約束事はちゃんとこなす。一人で買い物に行くのはあまり、いや正直全然楽しくなんかなかった。以前の村とは違い、みんな優しくしてくれる。子供二人で生活してくれるから色々とおまけもしてもらえる。梨花と一緒だったらもっともっと楽しいはずなのに、もっともっと毎日が光っていたのに今の生活は何も光っているように感じられなかった。 人を好きになるというのがどういうものか分からなかった私は、正直なところ梨花にどう接したらいいのか分からなかった。 とりあえず自分の中のルールとして私の気持ちは絶対悟られないというのが大切だ。ポーカーフェイスは部活のおかげとトラップのおかげで得意になった。部活が始まった当初は梨花に「沙都子は思っていることがよく顔に出るから分かりやすいのです」なんて言われて罰ゲームになった事もよくあった。逆に梨花はいつでも表情を読み取るのが難しくそれを指摘したら「世の中を上手く渡るコツなのです☆」とかなんとか言ってた…あ、だから私もそうするようにしたんだっけ。 思えば、私が何かある度に梨花は何も言わなくても私を導いてくれていた。 そして今梨花はきっと私が何かに悩んでいることについて頭を悩ませているのかもしれない。言ってしまえば楽になるのは分かっているけれど、でもこの悩みだけはいえない。梨花にいえない事は誰にも言えない。言いたくないから多分梨花も何も言わないんだろう。でもそれがもし梨花の心に深く傷をつけているのだとしたら私は一体どうしたらいいのだろう。 「沙都子ちゃん、今日はカボチャが安いよ!」と言う八百屋の主人の言葉ではっとなる。 「お、お気持ちは嬉しいのですけど…カボチャはまだお家にありますの。ですから今日は野菜炒めを―」 「そうなのかい?だったら安くしていくからおいで」 「ありがとうございます、ですわ」 野菜炒めは私の得意料理でもあり、梨花の好物でもあった。 そういえば教えてもらった野菜炒めが上手く出来なくて、悔しくて泣いたこともあった。 「今感じているものがつらいと思うのならそれを試練だと思うのがいいのです、その試練を乗り越えた時にはそれに見合うご褒美がある のですよ。沙都子はとてもとても頑張っていますのです、だからその頑張りはちゃんとオヤシロさまがみているのですよ。」 「ご褒美…」 「はいなのです。沙都子はえらいえらいなのですよ。 それに、沙都子の失敗したご飯も沙都子の味があって美味しいのです。みんなは沙都子の頑張っている料理を食べたことがないから かぁいそかぁいそなのですよー☆ボクは幸せモノなのです、にぱ~☆」 あれだけ毎日のように野菜炒めたくさん食べたら普通飽きるもんじゃないのかと思うんだけど、梨花はたくさん食べたから余計に好きになったなんて言っていた。不思議。えーっと人参、ピーマン…もやっぱり買わなくちゃいけませんわね、もやしと…ってあれ?私今何考えてたっけ…えっと梨花の好物、あぁそうそう、今夜のオカズは――。 ===== 私が部活メンバーからの心配を受けた日に、明らかな拒絶反応を沙都子から受けた。 きっと聞こえていないだろうという甘い期待は見事に打ち砕かれたのだった。そうでもなかったら沙都子が私を拒絶するわけがないんだ、とそう自分に驕りがあったから…だけど。 病院で暴れてからというもの、沙都子は一人で学校へ行くことがあったり放課後も一緒に帰らなかったりと今までそれが当たり前だったかのように二人一緒に住んでいるのに別々に行動することが増えた。会話もどこか余所余所しく、この光景どこかで感じたことがあるなと思い出すと笑えることに沙都子と同居を始めた頃のようだった。 そんなぎこちない灰色の毎日が続いたある日の事だった。 沙都子が買い物に行っている間日ごろの沙都子への気遣いと、昼間の体育で疲れがたまっていたのか気づけば眠りの体勢になっていた。カナカナカナカナとひぐらしの鳴く声をBGMにガチャリという異質な音と共に沙都子が買い物から帰宅した。今までは買い物は一緒、だったけどここ最近では一人で行くことが多くなったからどちらかが家に必ずいて一緒にただいまを言わなくなってもおかえりなさいを言う事も聞く事も出来たのだが。今日は梨花からのそれがない事に違和感を覚えたのか 「梨花?いないんですの?」 疑問を投げかけながら買ってきたものを冷蔵庫に入れようとする沙都子のとたとたという足音がする。本当は飛び起きておかえりなさいと言ってあげたい。いつもの作り調子でもいいから少しでも沙都子と話したかった。 だけどそれすらをも行動にうつせないくらいの身体のだるさで瞑っている瞼を開くことも辛かった。 沙都子と過ごしているのにこんなにも辛い日々もあるのね、と今まで感じたこともない後悔とそれに伴って最近ちゃんとご飯食べてなかったからだわ、という生活感溢れる後悔を頭の中で反省した。 梨花?と襖越しに小さく私を呼びかけスッと音をたてて襖が開く。 「梨花?電気もつけずに………寝てるんですの?」 「……」 目を開けるのも気だるいくらいなので返答をする事も辛かった。だからここは寝たふりでいよう、そう思った。これだけ疲れているのだから目を瞑っていれば少しくらいは寝れるだろう、目を覚ました時には沙都子のちょっと失敗した料理を食べることが出来る。今日は何のご飯なんだろう、と働かない頭でぼんやりと考えていた。 「梨花、夏でも何かかけないと風邪ひいてしまいますわよ」 寝ている私に声をかける沙都子の優しさがとても嬉しかった。最近はこんな事すらもなかったから嬉しくて心が熱くなる。 返答がない私を見て溜息を吐き、仕方ないですわねと押入れからタオルケットと枕を取り出してくれた。 全く困った梨花ですこと…なんて軽口叩きながら本当に怒っている様子ではない声色を聞いて、今のような生活になるちょっと前の沙都子との日々を思い出してどうしてこんな事になってしまったんだろうと嘆いた。 お腹にはタオルケットが優しくかけられ、頭をゆっくりと抱え枕を敷いてくれた。 夕食の準備をするんだろうと私も寝ようと意識を持っていったと同時に頭に何か触れる。この温かさと優しさをもつのは沙都子の手。 「ごめんなさいね、梨花。私が悪いのに梨花にまで気を使わせてしまって…」 謝罪の言葉をボソボソと口にしながら私の頭を撫でる。 沙都子が一体何に対して謝っているのか分からない、ただ沙都子から伝わる熱が嬉しくて切なくて嬉しくて眠るのが勿体無く感じた。少しでも長く味わっていたいその感触は頭から頬へと移動し、直接肌に沙都子のふにふにとした手が触れる。 沙都子にこうして頬を触れてもらったのは一体いつだったっけ、ああ思い出せない…そんなにも前の事でもないというのに私はこんなにも沙都子の肌を忘れてしまっていたんだと思うと心が切なくて、今この場で力を振り絞って起きて沙都子に聞きたかった。どうして私を避けるの、と。でも以前の世界みたいに沙都子に嫌われたくないからそんな事聞けない。 こんなにもこんなにも好きな人が今私のために断罪しているというのに私はそれを起きて許してあげることなんて出来ない。なんて、なんて弱虫な自分なんだろう…結局私は自分だけの事しか考えられないんだ。沙都子ならきっと私のように逃げないでいるだろうに。 暗いからばれないだろうと唇をかみ締めようとすると、指の気配を感じて即座にやめる。唇の輪郭をおぼつかない動きでなぞる。今までそんなことをされた経験がなく、ましてや沙都子からの刺激となると身体の中心が熱く疼いた。 ―ちゅ そんな私の唇に柔らかい感触を感じると同時に小さな水音がした。 ――今の…って何?…くち、びる…?沙都子の?…え?なんで?私、キスされた…? 「…―になっ………って、ごめんなさい」 私の枕元には涙声で謝る沙都子がいた。 ===== 家路へ向かう足取りは軽かった。 ぎこちない生活とは言え、梨花の食事の量が戻ってくれた。それは私が作った時に限ってだったけど、それでも嬉しかった。きっと気を遣ってくれているんだろうとは思うけど、そうやって嘘でもいいから形を作ろうとしたら本物になるんじゃないか、そういう淡い期待を抱きながら家に着いた。 少し遅くなってしまったかも。入り口が少し暗く感じガチャリ、と鍵を開け部屋に入るといつも聞くおかえりがない。元々防災倉庫だったのだから特別広くないこの部屋だけど、梨花がいないと思えるだけでとてつもなく広く感じる。 もしかして…バレた?いやそんなはずはない、だって今日だって普通だったじゃないか、と自分に言い聞かせ梨花を探す。あまり立派ではないけど愛着のある襖が閉まっていた、なんとなくここにいるような気がしていたけれど開いている隙間を覗けば明かりがない。物音もしなかったから多分寝ているんだろうとは思った。 襖を開くと案の定小さな寝息を立てて梨花は寝ていた。 …夏も過ぎてもうそろそろ秋だというのに何もかけずに寝てしまっていてはさすがに風邪までとは言わなくても体調を崩すのではないかと思い、起こしてみるも全く起きる気配がない。一つ溜息をつくとタオルケットと枕を取り出し梨花にかける。 布団を並べて寝る夜、最近はいつも梨花に背を向けるような形で寝ていた。たまに夜中に目を覚まして梨花を覗くと、梨花はいつも私のほうを向いて寝ていた。そしてその時私の布団はかけなおされている形跡があり、梨花がしてくれたんだと思うと涙が出た。いつでも私を見守ってくれているのに、それに応えられない自分が悲しい。 寝ている梨花の顔を覗き込んでみるが、何分部屋に明かりがないため分かりにくかった。 でも薄暗い部屋の中には私と梨花がちゃんと存在しているのが嬉しくて、ずるいなとは思ったけど少しそれに浸ることにした。寝顔はこんなに穏やかなのに起きている時はいつも悲しそうな表情を浮かばせているのが他でもない自分だという事に正直嬉しくもあり悲しくもあった。 「こんな事になってしまって…本当に申し訳ないですわね。ごめんなさい、梨花…私が悪いのに―」 きっと眠っていて聞こえないからいつも言いたくて仕方ない謝罪をボソボソと独り言のように口走る。頑張っている梨花を慰めるかのように頭に手を乗せ撫でる。髪は相変わらずさらさらで気持ちよかった。手を這わせ頬に触れる。肌もいつもと変わらずすべすべしていて気持ちよかった。そして私はある一点のみに意識が集中される。…微かに開き小さな吐息を吐く、唇。 ――今なら、誰も見ていない。誰にも気づかれない。大丈夫。 そんな声が頭の中で聞くよりも先に、私は梨花の唇を求めた。柔らかかった。 ―血が燃えた。私の中の血が燃え滾っている。 気づいてしまった。私はもう戻れない、と。 上っ面だけの親友でも構わない、それで梨花の傍にいられるというのならそれだけでも構わない、好きだった気持ちは忘れられる。そんな感情はもう今は微塵にもなくただ目の前の少女を自分だけのものにしたくて堪らなかった。止まらない気持ちを抑えることなんか出来るわけがない。もうこれ以上梨花の近くにはいられない、いつ梨花を傷つけてしまうかわからないくらいに梨花が好き。 だから私は決意した。 ――もう、この家から出よう 好きになって、ごめんなさい――― ===== 沙都子のキスはどういう意味だったのか、分からない。 好きになってしまってごめんなさい?誰が?沙都子?まさか、そんなことあるはずもない。だってあの子は私を拒絶してしまっているじゃないか。だからそんな甘い期待なんて抱かない。 裏切られた時の悲しみは果てしない、私の心はもう疲れているから出来るだけ傷つきたくない。所詮100年も生きた魔女とは言えども自分が可愛いのは当然だ。 そして生きる糧になっていた沙都子を傷つけたくもないから、私の思いは伝わることもなく、沙都子も私を親友以上の目でなんか見たことあるわけもない。だからだから、だから…「ありえない」。 キスをされてからというもの沙都子の行動が益々理解できなくなった。 今までは多少余所余所しかったり、出かけたりはしていたもののあの日以来から余所余所しいどころか前のような沙都子になっていた。授業中笑いかけてきたりお昼の時間も楽しそうにしていた。何かあったのかと思っても沙都子は何もないとの一点張り。おかしすぎる。 秋も近づいてきている頃、秋服を出そうという話になって押入れからせこせこと出していた。ついでだから、と言って押入れに入っている服を全部出してまとめていた。綺麗に畳めば少しですけど余裕も出来ますから、なんて私の服、梨花の服とちゃんと分けて畳んでいた。なんとなく違和感を感じた。 今までそこまできちきちとやっていたわけでもないのに何で今更突然そんな事をし始めるのか、本当に分からない。沙都子は一体何をしようとしているのか、この間の事はなかったことにして前のような生活に戻ろうとしているのか。もしそれを沙都子が望むのならそれに越したことはない、今までだってそうしてきたわけだし私の気持ちが伝わらない事なんてもう何十回か前の世界を巡っている時に分かったことなんだから。 沙都子の思うように私もいればきっと大丈夫、前のように楽しく笑いあえる日々が戻ってくると思っていた。 だから今までより遅い時間に帰宅しても気にしない事にした、確かに親友が自分に恋心を抱いているなんて 知った日には心の整理もつけたくはなるだろう。これは、これからの明るい未来のための試練なんだから多少一人でいる時間が長くなっても我慢も出来るというもの。だって遅く帰ってきた沙都子が作ってくれる晩御飯の時間はとても楽しくて、笑顔が耐えない時間だったから。 こうして最初は偽りかもしれない空間も、それが当たり前になればそれが日常になるというもの。 そんな事言ってたのは…どの世界の話だったっけ…。 ===== あのキスから数日が経った。 丁度秋服を出す予定もあったのでそのついでに自分の荷物をまとめていた。ハタからみればただの大掃除にしか見えないからきっと梨花には気づかれていないはずだった。 晩御飯は最後の罪滅しという事で梨花の好きなものだらけにしよう。そう決めていた。 けれどいざ梨花に別れを切り出そうとするも、肝心なところで意気地が足りないのか二の句がいえなかった。そして延ばし延ばしになってしまっていた今日、昨日もずっと一人で考えて気持ちの整理がついたはず。だからきっと今日こそ言える。 学校が終わると最近の日課だった一人の時間を作るために出かけようとした。いつも通りの事だった。だからいつも通りなら大丈夫、そう言い聞かせて家を出ようとする。けれどその日はいつもと違った。 「沙都子?」 「何ですの、梨花。私急いでますの」 「どこかへ出かけるのですか?」 梨花の様子がいつもと違った。もしや私の考えがばれているのだろうか、そんなはずはない…だってこれは私が最近決めたこと。長い期間をかければ分かる事かもしれない、でもさすがに数日では分からないだろう。ましてや今日は別れを決める大切な日なんだから、そのために豪華な料理を作るなんて言えるはずもない。 「え、ええ…トラップを裏山へ確認しにいくだけですの」 正直この言い訳は昨日と同じでさすがに無理かな、なんて思ったけどまさかここで梨花に問い詰められるとは思わなかったから言ってしまえば緊急措置、っていうやつになるわけで。 「なら、ボクも一緒にいくのです」 ――まずい…今私が梨花と一緒になったらきっとまた言えなくなる。買い物するのにもバレてしまう。 「いっ…いえ! 梨花には危険ですし私一人で行きますからっ」 「でも沙都子、今日の夕食当番は沙都子です。だからボクは沙都子が帰って来ないと飢え死にしてしまうのです。」 「ええ、ですからトラップを確認してから買い物にいくつもりでしたのよ?」 「買い物は昨日済ませておいたのです。今日は何も買わなくてもいいのです、にぱ~☆」 今日の梨花はどうしてこんなにも食いついてくるんだろう、何かいつもと違う様子に気づいたんだろうか。ここ最近なら気にしないで送り出してくれたというのに、なんで? 「沙都子…みー、どうしてそんなにボクから逃げるのですか?」 ――やっぱりシラレテイル……? 「みー…沙都子はボクのこと嫌いなのですか?」 「はっ!? な、何を言ってるんですの梨花!?」 「沙都子はボクと目を合わせてくれないのです…」 ――ばれた。私が梨花を避けているのがばれた。すなわちソレは私が梨花を好きなのが― 「そそ、そんなことないですわ! 梨花の気にしすぎなんですのよ!」 「…みぃ、沙都子。嘘は良くないのです」 「嘘なんて言ってませんわ、何なんですの梨花さっきから―」 「ボクは沙都子の親友です。だから沙都子がいつもと違うことくらい分かります」 ――梨花に知られてしまった。 「何か悩んでることがあるのですか? どうして沙都子はボクからいつも逃げようとするのですか?」 「…親友でも、いえ親友だからこそ…知らなくてもいいことだってあるんですわ」 どうでもいい人にならこんなに頭を悩ませない。でも梨花だから、失いたくないからいえない。 ――もうだめだ、私は益々この家にいられなくなってしまった。今日しかない、今日言って家を出よう。 もう怖くて梨花の顔を見ることが出来ない、きっと私に嫌悪感を抱いている顔をしているんだろう…。 途端に走り出す。 ――怖い怖い怖い怖い…嫌われたくない、怖い。 その想いを振り切るために私は走った。 道の途中に座り込んでいた。どのくらいそうしていただろうか、辺りは暗くなり始めていた。秋も近づき時間の具合が分からない…早く戻らなくては、踵を返し来た道を戻る。買い物にも行かなくちゃ。 今日で終わる。全部終わる。明日からは楽しい毎日が迎えられる…ハズ。だから今日は梨花と楽しい晩餐にしよう、きっと圭一さんの話題を出せばそれだけで笑いが走るはず。 最近は部活もなかったから明日からはちゃんと部活があると思うし、多分楽しいはず。圭一さんや、魅音さん、鋭いレナさんも梨花と普通に話していれば仲直りしたと思ってくれるはず。梨花とも最初はぎこちないけど、きっとまた前みたいに仲良くなれるはず。 ――全て、上手くいく!!…はず。 「梨花ぁ? お夕食の準備が出来ましてよ~テーブルは片付いていますの?」 「みぃっ! ばっちりなのですよ」 こんなやりとりも久しぶりだったから、素直に楽しめた。梨花も笑ってくれていたし、やっぱりこれが最善なんだ。 「みぃ!! 今日は実に豪華なのですよ?何かお祝い事なのですか?」 「ええ…まぁそんなようなものですわね」 「…み~?」 「ささっ、冷めないうちに召し上がりましょ」 梨花の好きなものばかりのおかずで梨花も嬉しそうな顔をしている…嬉しい。 今まで私はどれくらいの笑顔を梨花に与えられていたのか、ちょっと前は100点以上って胸を張っていえるけど今は…。でも大丈夫、明日からはちゃんと自分に100点を与えることが出来るはず! おかわりが出ると思って多目に作ったものの、ぺろりと平らげてしまった。 ――梨花、無理してませんわよね。 「ご馳走様なのですよ」 「お粗末様、ですわ」 「今日はボクがお片づけするのですよ、にぱ~☆」 「いいんですよ梨花、最後くらい私が―」 ――あ、しまった。 「…最後とはどういう意味なのですか?」 「え…っと、ですね」 「沙都子、何かを終わらせるのですか?」 「…あの」 …ヤバイ、さっきまでの空気がなくなってしまった。でももう言ってしまったものは仕方ない。私も女だ、タカをくくっていくしかない! 「沙都子」 「………ごめんなさい、梨花。本当はちゃんと伝えるつもりだったんですけど、えっと…私が今から言う言葉は決して梨花を嫌いになったからとかそういう意味ではなくて。梨花のことを大切に思っているから、貴方を好きだから、だからそうした方がいいと―…」 「ボクのため、ですか?」 「ええ、梨花のためですわ…そして私のためでもありますの」 「それは一体何を終わらせるという事なのですか?」 「今日で終わらせようと思うのです、同居生活」 「え?」 ===== 以前感じていた違和感がなんだったのかわかった。沙都子の服が少しずつだけど減っている。本当に微妙な数で、あの違和感を感じなければ多分絶対気づかないようなもので一度それを見つけてしまってからというもの、私の中にある考えたくもない不安が頭をもたげ始めた。 その日の沙都子はいつもとは違う空気を纏っていた。それが何かは分からない、けどその空気のせいで私の不安は更に膨張する事となる。だから沙都子に問いかけたんだ。 * 私を飢え死になんかさせないと言った沙都子はちゃんと帰ってきた。 買い物はもう既にしてあると言ったのにも関わらず買い物をして帰ってきた。手に持っているのは…私の好きなもの。今日の夕食は野菜炒めかしら、なんてこんな時にも関わらず少し嬉しくなってしまった。 料理を作っている最中の沙都子は常に上機嫌で、そんな沙都子を見るのは嬉しくて私も色々と沙都子に話しかけたり一緒に歌を歌ったり久々の穏やかな晩御飯になるだろうという事が楽しみでならなかった。 ――…きっと、沙都子は心の整理がついたんだろう。なら私もそう接しよう。それが一番の最善手…だから。 料理は私の好きなもののオンパレードだった。嬉しかった…けどまるで何かに対しての詫びのようにも感じた、そう感じるのは私が沙都子を信じ切れてないからと自分で自分を戒める。沙都子の荷物が少しずつ減っているのだって沙都子の気まぐれなのかもしれない。沙都子は突然不思議なことをしてくれるから、だから一緒にいて飽きない。どんなに長く生きていても沙都子のような柔軟な発想が出来ない、沙都子のように強くなろうという事が出来ない。沙都子から学ぶ事はまだまだたくさんあるからきっと今回の荷物の移動だって私の学ぶことはあるだろう。 不安を打ち消すかのように沙都子の料理を平らげた。料理、大分上手になったな。 ここまで腕を振るって私の好きなものを作ってくれたのだから労いも必要だろう、片づけくらいは私がしようと立った時の事。 「最後くらい、私が――」 ……なんか今聞きなれない言葉を耳にした気がした。 ひょっとして私が浮かれているから聞き間違えたのかもしれない、もう一度聞いてみよう。違うよね、沙都子? 「今日で終わりにしようと思いますの」 ――ああ…聞き間違えなんかじゃなかった、今までの幸せな時間と雰囲気は一気に飛んでしまった。顔が強張ってくる。手が震えてくる。沙都子の言葉を聞きたくない、とめて欲しい…でも止めてくれない。 「私、家を出ますわ…梨花、今までありがとうございました」 夏の終わり3へ続きます。
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注意書き 圭一による知恵、及び部活メンバーへの凌辱罵倒表現などがあります。 女性の尊厳を著しく傷つける単語、表現等があります。 長文です。 おまけにこれでまだ半分くらいの予定です。 朝、教室の中をドタドタと元気よく子供達が走り回っている。 彼あるいは彼女らは、一時間目の授業が始まる前のこのほんの少しの休み時間を、それぞれのやりたいことに費やしていた。 といっても、ほとんどが遊びたい盛りの少年少女達である。 勉強の予習をするまじめな生徒などはほぼ皆無で、男子は何やら机にラクガキをしているものや、教室内だというのに持ち出したボールでサッカーをしているものもいる。 女子は女子でそれぞれお気に入りのグループを作りおしゃべりをしていたり、馬鹿騒ぎをしている男子を注意しているものなどもいたりした。 やっていることは様々だが、みなに共通しているのは……その表情が笑顔であったことだ。 特に悩みもなく、何気ない学校生活を謳歌する、典型的な子供の表情だった。 しかしその教室の楽しそうな雰囲気の中で、彼女らのそれだけは別だった。 「……なんとか。 なんとかしないとだよね? このままじゃダメだよね……絶対」 「………………」 「な、なんとかっていったって、どうすんのさ……。 もう、これいじょう……」 彼女達三人は教室の隅っこの方に机を寄せ、この世の終わりかというほどの暗い表情で何やら相談ごとをしていた。 竜宮レナ、北条沙都子、園崎魅音。 彼女達はみなこのクラス内では部活メンバーとしてそれなりの主導権を持っている人物であるが、ここ最近はある一つの悩みによってその勢いがすっかり削がれていた。 いちおう委員長である魅音や、クラスのお母さん役でもあるレナが騒いでいる年少組を注意しないのは、彼女らにそんな精神的余裕がないからであった……。 「わたくし……も、もう耐えられませんわ……」 かすれるような声で、沙都子が言った。 すると彼女は、何かに怯えるようにガタガタとその体を震わせていく。 それに合わせて、座っているイスも一緒にカタカタと音を立てていった。 「あ、あの子……日に日にあの男のものになっていって……。き、昨日なんて、わたくしがいくら話しかけても、み~み~、み~み~って……。ネコのように、ただ鳴くだけなんですのよ? まるで、に、人形のようにされて……!あんなのって、あんなのってヒドすぎますわっ!!!……ううぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!」 喉の奥から搾り出すようにすると、沙都子はそのまま涙をポロポロと流していった。 そんな沙都子を見て、隣に座っていたレナが安心させようとギュっとその小さな身体を抱き寄せる。 「沙都子ちゃん……だ、だいじょうぶだよ。 レナがきっと、なんとかするから……」 「何が大丈夫なんですの!できもしないクセに、へたな気休めやめてくださいませっ!!!」 「!? ……ご、ごめん……」 沙都子が大声をあげると、レナは自分のあまりに軽率すぎた言葉を、恥じた。 本当に、何を根拠に大丈夫なんだろうね…と。 あの子の親友である沙都子には、今の状況がどれほどつらいものかよくわかっていたはずなのに……。 人の気持ちを傷つけないよう、わかってあげられるよう、常に気を遣っているレナ。 そんな彼女がこんな軽率な慰めをしてしまうほど、今の彼女達は追い詰められていたのだ……。 「ごめん……ごめんね沙都子ちゃん。 レナ、なんて馬鹿なんだろうね。…………………………ごめんなさい」 沙都子よりレナの方が年上だったが、人に謝罪する時にそんな上下関係など意味を為さない。 むしろ相手にまっすぐ伝わるよう、レナは間違っていたものを言いなおしてふたたび言葉をつむいだ。 そしてそのまま、胸の中にいた沙都子をギュっと抱きしめなおすと……ごめんなさい、ごめんなさい、とうわごとのように何度も何度も繰り返していく。 「ごめんなさい。 ごめんなさい沙都子ちゃん……何もできないレナを許して……」 「……こちらこそごめんなさい。 こんな……レナさんに当たるなんて、わたくし最低ですわ。ちがうんですの……レ、レナさんに、こ、こんなこと言いたいんではなくて……うぅぅっ!!!」 「うん……わかってる。 わかってるから、もう泣かないで……おねがいだから……」 沙都子がふたたびポロポロと涙を流しだすと、レナは彼女の目頭を指でぬぐってやろうとする。 沙都子が泣き止むまで、何度も何度もそうしてやるつもりなのだが……。 それでも彼女の目から流れ出るそれはちっとも止まらなくて、レナはこんなことしかしてやれない自分に憤りを感じた。 そして沙都子も、こんな時にまで迷惑をかけることしかできない、無力な子供の自分に恥じていった……。 「……………………」 そんな二人の様子を、あえて見ていなかった少女がいた。 魅音。 彼女はずっと、教室の窓の外の景色を眺めていた。 一見それは冷たいような仕草にも見えるが、彼女もまたレナや沙都子と同じようにあの子の様子に考えるところがないわけなかった。 そして大好きだった彼のことも……気にかからないわけがなかった。 レナと沙都子がこんな状態ならば、せめて自分だけはしっかりしていなければならない。 最年長者であるし、何より自分は部活メンバーの部長なのだ。 本当はその胸に一緒に泣き崩れたいほどの弱さを抱えながらも、魅音は今の状況をどうにかひっくり返せないものかと…ずっと思案していたのだ。 ………………だが、無理だった。 決心したところで……弱さを克服したところでどうにかなれば、世の中苦労しない。 ましてや彼女達が陥っている状況は、将棋でいう『詰んでいる』状態なのだ。 そこからどう王を逃がそうと他の駒を動かそうと、ルール上どうにかなるわけがない。 だから、彼女はこうつぶやくしかなかった。 「……………………もう、ダメなのかな……?」 「………………」 魅音のその質問に、レナと沙都子は答えない。 答えられない。 その言葉には、諦めや失望。 あるいは村の神様であるオヤシロ様に助けを請う意味でもあったかもしれないが、それはつぶやいた彼女にしかわからないことだった……。 少し前の明るい彼女らを知るものならば、この光景を見るとまるで別人ではないかと思えるほどの変わりぶりであろう。 それほどまでに今の彼女達は追い詰められていた。 正確には、彼女達自身は何の危機にも瀕していないのだが、今ここにいない部活メンバー。 古手梨花と前原圭一。 この両名のことで、最近の彼女らは放課後の部活すらやる気がなくなってしまうほど頭を悩ませていたのである……。 ガララララララッッ!!! その時、教室の扉が勢いよく開いた。 生徒という生き物の性なのか、その瞬間、教室内にいた誰もが条件反射的に席につこうとする。 ……しかし、現れたのは知恵ではなかった。 そこにはこの雛見沢分校で唯一の男の年長者である、彼が立っていたのである。 「おーっす、みんな! 今日も元気に勉強しようぜーっ!!!」 その男、前原圭一は教室の全員に聞こえるほどの声でそう挨拶した。 彼は左手にあまり中身の詰め込まれていないカバンを持ち、右手にはジャラリと音のする『それ』を握りながら教室の中へ入っていく。 それを見た子供達は口々に、おはようございま~す前原さん、や、今日も元気ですねー、などと他愛もない挨拶を交わしていく。 それには別段おかしなところもなく、年上である彼への多少の敬意くらいのものが感じられる程度で、みながみな圭一のことをおもしろいお兄ちゃんという認識以外もっていないようだった。 「…………………………」 だが、彼女達だけはちがった。 あいかわらず教室の隅っこに子鹿のように固まっている、レナ、沙都子、魅音。 この三人だけは、圭一のことを他の生徒達と異質な目で見つめていたのだ。 まず彼女達は、圭一が教室に入ってきても誰も挨拶を返そうとしなかった。 彼とは誰よりも親しいはずの彼女達が、である。 少し前なら圭一が登校してくると、挨拶どころか彼の机の周りに集まり談笑するほどだったというのに。 なのに今は彼の姿が見えていないんじゃないかというほどに、彼女達は自分の席に歩いていく圭一をオドオドした瞳で見つめてゆくのだった……。 「お~っす、レナ、魅音、沙都子ー! 今日も元気かー!」 そんな視線を感じ取ったのか、圭一は自分の席へと歩いていく中で隅にいる彼女達に声をかけてやった。 だが、やはり三人は答えない。 それは彼を無視するというよりは、どこか恐れているような……。 まるでライオンにでも声をかけられたように、彼女らは口を閉ざす。 それは圭一にとっても予定調和のようで、彼は右手に持っていた『それ』をわざとジャラジャラと揺らしてみた。 「!?…………う…………」 レナ、沙都子、魅音。 三人がほぼ同時にうめき声をあげた。 圭一の手に持たれている『もの』。 そして、それから出た音を聞いて……。 圭一の右手には、鎖のようなものが握り締められていた。 それは何周も何週も手のひらに巻きつけられていて、どんなことがあっても俺はこれを手放さない、という彼の気概のようなものが感じられた。 そして、その鎖が伸びている先……。 幾重にも重ねられた輪っかが紡いでいくその先には、『首輪』があった。 『首輪』というくらいなのだから、それは何らかの『生き物』の首についているはずで……。 そしてその生き物は、鳴いた。 「………………みー」 圭一のすぐ後ろをトコトコとついていきながら、その『子猫』は愛らしい声をあげた。 子猫が鳴いたことには意味はない。 何か訴えたいことがあるわけでもなく、前を歩いている主人を呼んだわけでもない。 本当に、ただ、鳴いてみただけ。 それは子猫の、ボーっとしたような様子からも簡単に見て取れた……。 「…………………」 自分の席に歩いていく圭一。 そしてそれについていく子猫の姿を、レナ達はひどくいたたまれない気持ちで見つめていた。 哀れみや諦め。そしてその瞳に謝罪の意味も込めながら、ずっとその子猫を……目で追う。その子猫は、変わった服装をしていた。 最後にあの制服を見たのはいつだったか……。 もう大分前のことなので、三人とも思い出せない。 子猫は……いわゆるメイド服と呼ばれるものを着ていた。 おそらくこの村唯一の診療所の所長が用意した物なのだろうが、それを主人である圭一は微妙に弄くっていた。 まずその頭にはメイドがよく付けているカチューシャはなく、変わりにピョコンと二つ、可愛らしいネコ耳が生えていた。 おそらく圭一の趣味なのだろうが、この鎖に繋いでいる生き物を猫扱いするためにわざわざ彼が付せたのだろう。 あるいは子猫自体に、自分は猫なんだ、と自覚させるためのものかもしれない。 次に、その胸元にも微妙な改造が施されていた。 ……改造とは少しおおげさか。 いくつかのメイド服には元々そうなっているものもある。 子猫の胸元には独立していくつかのボタンが付けられており、それを縦に外していくと、乳房だけがポロンと外に露出させられるようになっているのだ。 もっともその子猫には、『乳房』と呼ばれるほどの膨らみがまったくなかったため、この機能はまるで意味を為していないといえるだろう。 …………今後の成長に期待、といった意味なのだろうか。 最後にスカートだ。 これだけはあきらかにおかしいと断定できるものだった。 主に長さ的な意味で。 大抵のメイド服のスカートは丈が膝の上にくるほど短いものがほとんどだろうが、子猫のはとてもそんなレベルではなかった。 あまりに短すぎた。 それはもう、スカートなどとは呼べないほどに。 こういう時によく使われる表現で、少しかがむと見えてしまいそうな、というものがあるが、それですら生ぬるい。 子猫は今、圭一の後ろをトコトコと歩いている。 それだけなのだが、それでもう中身が全て見えてしまっているほどだ。 純白の布を当たり前のように晒しながら、子猫は恥ずかしがる感情も与えられていないように、それを隠しもしない。 いくらこの猫が幼いとはいえ、下着を丸見えにしたまま学校に登校してくるなど到底ありえない。 このスカートの丈こそがまさに、圭一がこの子猫にその欲望をぶつけている具現であるといえるだろう……。 「………………み~、み~、み~」 子猫がまた鳴い……ああ、もういい。 もういい。 もうそんな『比喩』などどうでもいい。 いいかげんしつこすぎるだろう。 その子猫は、古手梨花だ。 古手梨花が。 鎖で繋がれて。 首輪を付けられて。 メイド服を着せられて。 歩いている。 圭一のすぐ後ろを、ちょこちょこちょこちょこ。 可愛らしく歩いてくる。 ペットが主人と散歩でもしているように、かならず鎖の届く範囲で彼のそばに付き従っているのだ。 それは一見すると、ただの部活の罰ゲームのようにも見えるのだが……。 部活メンバーであるレナ達の様子を見る限り、それは正しくないと考えるのが妥当だった……。 「ん…………ふうっと。 ほら、こっち来い」 そうして圭一は自分の席にまで辿り着くと、どっかりとイスに座りつつ梨花を膝の上にくるよう、パンパンと自分のズボンを叩いた。 梨花はそれにさも当然のように従っていく。 あいかわらず短すぎるスカートの中身を惜しげもなく晒しながら、圭一の膝あたりにチョコンと座る。 その時どうも、彼の下半身のある部分にお尻がくるように座ったのは……どうも気のせいではないようだ。 「み~、み~。 みぃ~?」 これでいいのですか?とでも言うように、梨花はご主人様に首をかしげながら尋ねる。 それに圭一は黒い笑顔を浮かべながら、満足そうにつぶやいていく。 「よしよし、いい子だなぁ梨花ぁ? もうすっかり俺好みの肉奴隷になりやがって……くくくくく」 膝にいる梨花の頭をナデナデと撫でながら、圭一がついにその言葉を口にした。その単語を。 その単語の意味と、そこに初めのほうの沙都子の涙。 レナの消沈。 魅音の諦め。 …………まあつまり、そういうことである。 「あぁ……り、梨花ぁ……あ、あんな……に……ペ、ペットみたいにされて……」 梨花が圭一に可愛がられていく様を、沙都子がすがるような目で見つめる。 どこまで悲しいのか知らないが、そんなに心配なら彼女のそばにまで行けばいいものを。 圭一の席まではちょっと歩いていけばすぐに着く距離だ。 そこに愛しの梨花がいるのなら、今すぐにでも駆けて行けばいい。 実際、彼女はそうしようとしてイスから立ち上がろうとしたのだが……。 「…………沙都子ちゃん、ダメ………」 それを隣に座っていたレナが、やんわりと制する。 それをしてしまったら、間違いなく沙都子がもっと傷つけられるだろうということがわかったから。 あの鬼畜な男に、み~み~としか鳴けない身体にされてしまった梨花。 親友のそんな姿を至近距離などで見てしまったら、かならずこの子は苦しめられるだろうと感じたから。 さきほどの過ちをもう一度繰り返すわけにはいかないと、レナは沙都子を抱きしめるようにしながらイスから絶対に立たせなかった。 「我慢して沙都子ちゃん……レナも……レナもがんばるから……ぁ……」 「あぁぁ……り、梨花、りか、りかぁぁぁ……うぅうぅぅぅぅぅ……!」 今度もまた沙都子はレナに暴言を吐きそうになったが、彼女の気遣いがわからないわけではない。 素直にその胸の中に抱かれていく……。 梨花の元に行けないかわりに、柔らかい胸の中で声を枯らしながら泣いていくのだった……。 「…………うく……う、うぅ……うぅぅぅ!」 その時、レナのでも沙都子のものでもない泣き声が聞こえてきた。 ……魅音だった。 いままでずっと気丈にふるまっていた彼女だったが、梨花の姿。 そして圭一の変わり果てた姿を見ると、ついに彼女も我慢できずに涙を流してしまったのだ。 それはつまり、部活メンバー全員の敗北を意味するもので……。 その時廊下では授業の始まりを告げる鐘が鳴り響いていたのだが、今の彼女達にはそんなことはどうでもよかった……。 そうしてしばらく、時間にすればほんの五分程度だったのだが、レナ達にとっては永遠と思えるほどの時間が過ぎていくと、ようやく圭一と梨花に干渉しようとする人物が現れた。 彼女は廊下で鐘が鳴ってからほどなくして教室に入ってきた。 いつのまにか生徒が全員席についていたことが、彼女が教師であることをうかがわせる。 そしてその責務を果たしていくように、圭一の席の前までツカツカと近づいていった。 「…………ま、前原君…………」 ついに神様が彼の愚行を止めようと考えたのか、今この教室内で唯一の大人……知恵留美子が声をかけたのだ。 それは、考えてみれば当然のこと。 もう授業を始める鐘はとっくに鳴っているというのに、いまだ圭一は膝の上の梨花を猫可愛がり。 おまけにその梨花はおかしなメイド服を着ているのだから、教師という立場にいる彼女ならばいち早くそれを注意してもいいはずなのだ。 ましてや正義感の強い知恵ならば、今の梨花が置かれている状況を打破してくれることもできるはず……。 ただ泣き続けるしかないレナ達にとって、知恵は救いの神になれる存在だった……はずなのだが。 「……………………」 知恵が圭一の元へと向かっても、レナ、魅音、沙都子の表情は一様に暗いままだった。 あいかわらずどんよりとその瞳を曇らせ、教師である知恵に何も期待していないという様を表していた。 無駄なことを…とでも言うように。 そんなことを露も知らない知恵は、圭一にこう切り出していく。 「ま、前原君。 もう授業は始まっていますよ? 古手さんを席に着かせて、授業の用意をしなさい……」 「……あー、悪いですね先生。 今日はちょっと気分が乗らないんで、自習にしてください」 教師である知恵の注意に、圭一はさも当然のようにそう答える。 本来であれば、生徒が教師に自習にしろなどと口が裂けても言えるわけがない。 だが彼はまるで対等の立場の人間に言うように、それが敬語であるだけまだマシだという態度だ。 当然、知恵はこう口にしていく。 「じ、自習になんてできません。 できるわけないでしょう……?それに何ですか、その態度は。 わ、私はあなたの先生ですよ……?」 彼女がそう返すのは必然で、礼儀のなってない生徒を注意するのは教師の務めである。 圭一の態度はあまりに失礼で、それが男の教師であったなら頭を叩いていてもおかしくないかもしれない。 だからまだまだ知恵は止めない。 不良生徒を注意していく言葉を。 「は、早くしなさい。 あ、あなた一人の為に、じゅ、授業が遅れてしまいます……。前原君……前原君、き、聞いているんですか……?」 …………何かがおかしかった。 知恵の声が、震えているのだ。 正しいことを言っているのに、彼女は怯えている。 その注意する仕草もどこかオドオドしていて、正義感の強い彼女らしくない、自信のなさのようなものがにじみ出る言い方だったのだ。 そんな威厳のない雰囲気では、どんな生徒であっても聞き分けを持つはずがない。 だがそれでも知恵は続けていく。 まだ胸の中に残っていた、ほんの少しの勇気を振り絞って。 「は、はやく古手さんを降ろしなさい! いいかげんにしないと、先生も本気で怒りますよ!」 「………………………あ?」 知恵が少し語気を強めると、圭一の声色が変わった。 表情はそのままだったが、その口から出る声は別人かと思えるほど低かった。 そしてそれを、目の前にいる反抗的なメスにぶつけていく。 「……おい知恵。 おまえ、いつから俺にそんな口聞けるようになったんだよ……? なぁ」 「!?…………あ…………」 そのドス黒い圭一の声を聞いた途端、知恵の表情がみるみるうちに青ざめていく。 それはあきらかな恐怖。 または畏怖と呼べるものだというのが、その場にいる全員に見て取れた。 そしてそれを更に明らかなものにするため、圭一は続けていく。 「なぁ、答えろよ知恵。 おまえは俺のなんだ? 言ってみろよ、ほら」 「あぁ……や、やめて……こ、こんなところで……」 圭一のその言葉を聞くと、今度は知恵の顔がうってかわり真っ赤に染まっていく。 さきほどのは恐怖というのが適当だったが、今度は羞恥という言葉がピッタリ当てはまる表情だった。 そんな赤くなる知恵を眺めながら、更に圭一は続けていく。 「ほら、どうしたよ言えよ? ……何してんださっさと言えよ。 おまえはなんだ?」 「せ、生徒がいるから……こんな小さな子達の前で、そ、そんなこと言えない……」 「関係ねえだろ、そんなこと。 俺が言えっていってんだ。 早く言えよ……?………………言えっていってんだろうがよぉぉぉ知恵ぇぇぇぇぇっ!!!」 「………………ひぐっ!?」 圭一が教室中に響くほどの大声で叫ぶと、知恵はビクンっと背中を震わせた。 そして圭一の声に気づいた生徒達が、何事かと雑談をやめて知恵の方向を一斉に見る。 もっとはやくそれを決心していれば、生徒全員に聞かれることはなかったろうに……。 知恵はまだ幼い彼ら彼女らの視線を一身に受けながら、それを口にさせられていく。 「わたしく……ち、知恵留美子は……前原く……ご、ご主人様の、に、肉奴隷……です」 フルフルと震えながら、だがはっきりと聞こえる声で知恵は口にした。 その光景を見ている生徒達は何事かと思っていたが、普段のキリっとした『知恵先生』が泣きそうになっているということに興味を抱き、彼女の言葉をシーンと静まりながら聞いていく。 普段は静かにしろと言っても聞かないくせに、こんな時ばかりしっかり口を閉じる子供達が知恵にはひどく恨めしかった……。 「そうだなぁ。 おまえは俺の肉奴隷だよなぁ? なのになんだ、その態度は?」 「あぅ……ご、ごめんなさ……で、でも」 「でもじゃねぇっ!ご主人様に逆らっていいと思ってんのかよ、なぁ答えろよぉっ!!!」 「お、怒らないで……ご、ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」 圭一が怒りをあらわにすると、知恵は今にも泣きそうになりながら何度も謝罪の言葉を口にした。 さきほどもレナが沙都子に同じようにしていたが、これはまるでちがう意味の『敬語』であることが誰の目にも明らかだった。 「ごめんなさいごめんなさい、あ、あなたを怒らせるつもりじゃ……ご、ごめんなさいぃ……」 すがるような声を出しながら、知恵は何度も何度も自分が嫌われないためにする利己的な謝罪を繰り返していく。 生徒であるレナ達ができた謝罪を、教師である知恵ができないという矛盾。 その理由はひどく単純だった。 もはやそこには、生徒と教師という図式がなりたってなかったのだ。 まるで男が主導権を握っている痴話喧嘩のような、そんなみっともない会話が二人の間で為されていた。 「ちっ……まったく、少し目を離すとすぐこれだ。 まだまだ調教が足らねぇなぁ、知恵ぇ?」 「!?……い、言わないで……そ、それだけは……」 圭一が調教という言葉を口にすると、知恵は一瞬だけ教師の顔に戻ったように見えた。 こんなになってまでも、まだ言われたくないことがあるのだろうか。 知恵はタップリと涙を溜めた瞳でやめてやめてと首を振る。 だがドSの圭一が、ましてや今は反抗したメスをお仕置きしているのだから、その口先を止めるわけがなかった。 「や、やめて……い、言わな」 「放課後に毎日毎日突き刺してやってたもんなぁ? そのたびにすっげぇ喘いでよぉ。よっぽど溜まってるわけだ? そりゃそうだよな~、この雛見沢じゃあ若い男なんてそうそういねぇもんなぁ~? しまいには俺のに自分からむしゃぶりついてきて……」 「!?……あ、あああぁぁぁやめて、やめてぇ、やめてぇぇぇぇ……!」 圭一が次々と赤裸々な言葉を吐いていくと、ついに知恵は目からポロポロと涙を流しながら泣き崩れていった。 それだけはどうしても言って欲しくなかった、自分の浅ましい姿。 圭一が転校してきてから、知恵はさんざ彼にその若い体を弄ばれたのだ。 彼とのセックスに夢中にさせられていき、その甘い言葉にも酔っていった。 身も心も……。 何よりも彼女自身が、それを求めていたから。 今圭一が言ったとおり、この田舎で彼氏と呼べるものすら作れなかった知恵にとって、優しくしてくれる男というのはそれだけで魅力的だったのだ。 教師とて一人の人間なのだから、生徒に手を出してしまったことを非難するものはいない。……とは決していえないが、それを何もここで言わなくても……と知恵は泣き崩れながら思うのだった。 「ひっく……や、やめてくださ……い、言わないで……そ、それ以上、言わないで……」 「そういえば、放課後までガマンできないって、朝トイレで犯してやったこともあったよなぁ?あんときのおまえはエロかったぜぇ?出席簿持ったまま、あ~んあ~んって腰振ってよぉ?ハメられてるときも生徒のものは手放さないなんて、教師の鑑だよなぁー?」 「!? ひぐ……や、やめてくださ……わ、私が……わ、悪かったですからぁ……!」 「黙れよメス犬が。 まだまだあるぜぇ~? 昨日はわざわざ俺の家に来たんだよなぁ?家庭訪問だとかいって、最近梨花ちゃんばかり相手にしてる俺のを自分から咥えに来て。ご主人様のが欲しいんです、もうガマンできません、そんな女にあげるくらいなら、いますぐここで私を抱いて下さい、って言ったんだよなぁっ!」 「あぁ……ご、ごしゅじ……さまぁ……も、もう許して……ゆ、許してくだ………さ………」 「おまえ、23、だか4だったか? ちょうどセックスが一番きもちいい盛りだもんなぁ?よすぎてヨスギテたまらねぇ時期だもんなぁ! もうガマンできなくて、デ キ ナ ク テ!ついこんな小さな梨花ちゃんにまで嫉妬しちまったってわけだぁぁぁぁっ!!!」 「ち、ちがい……ま……あ、あれは……そ、そん……なつもり……じゃ…………」 「俺もビックリしたぜぇ?いきなり四つん這いになって!このままバックで犯して下さい。どうか肉奴隷知恵に、ご主人様のおチンポを咥えさせてくださいませ。だもんなぁ!おまけに!そんな小娘より絶対イイはずです!一生懸命締め付けます。腰もフリフリします。そのまま中出ししてもイイですからいますぐハメて下さい!ブチ込んでくださいご主人様ぁ!ほんと、聖職者のくせにドスケベな女だよなぁぁぁぁ知恵ぇぇええええぇぇぇっっ!!!」 「や、やめ……ひぐ……も、もう、やめ……てぇぇ…………も……う………も…………」 ……口先の魔術師とは、誰がつけた名だったか。 圭一はマシンガンのように次々と罵倒の言葉を吐き出していき、無数の弾幕で知恵の心をボロボロに砕いていった。 たとえ彼女が謝罪しようが、許しを乞おうが、泣き叫ぼうが。 反抗的な奴隷を躾けている主人にとって、たかがメス奴隷である彼女の言葉は届くはずもなかった。 それを彼女もわかったのか、それともそんな気力さえ尽き果ててしまったのか……知恵の声は時が経つほどにかすれていき、最後の方にはもう、誰にもそれは聞こえなくなるほどだった……。 「あう……えく……うぅぅ……ひぐっ、ひぐぅぅぅ、う、う、う……うぅぅぅ……」 止められない涙をボロボロと流しながら、知恵は自分の子供の頃を思い出していた。 少女時代わりとおとなしめな性格だった彼女は、近所のイジワルな子供達にイジメられることが多かった。 特に友達もいなかった知恵は、その人数という名の暴力と子供ゆえの残酷さに日々心を傷つけられていく。 誰も助けてくれなかった。 大人も子供も。 誰も助けの手を差し伸べてくれない。 そうしてイジメっ子達の罵声を耳に痛いほど聞きながら、知恵はただただ涙を流していくしかなかったのである。 そうすると彼らは、そんな彼女の泣く姿にも罵倒の言葉を浴びせるのだ。 や~い泣き虫、泣き虫留美子~、と。 「ひっく、えぐ……ごめんなさ……も、う、イジめないで……もぉ、う、イジメないでぇぇぇ……」 それなりに高い志をもって教師になった。 痛みを知っている彼女は正義感も強かった。 わざわざ教育委員会の意向を蹴ってまでこの雛見沢に来たことで、それはしっかりと証明されている。 誰にも疑えようのない、神聖でまっすぐな教育精神だ。 ……だが、肝心な中身の部分が変わってなかった。 身も心もずっと寂しかった知恵は、鬼畜な圭一の口先にあっさりと騙された。 男に優しくしてもらったことのなかった彼女は、麻薬のような甘美な快楽から抜け出せなくなったのだ。 だが、それは普通の人間ならすぐに自重できる程度の軽いもの。 ましてや教師の彼女なら、絶対にそうしなければならない。 でも知恵は弱かったから。 泣き虫留美子は寂しかったから。 ガマンデキナカッタカラ。 圭一の、好きだよ…愛してる…などという、まるで中身のこもっていない言葉にコロっと騙される。 本当にそう思っている男は、易々と何度も口にしないものだ。 安っぽくなるから。 だが女はそれを口に出して言って欲しい。 知恵もその例外ではなかった。 あとはもう、彼の口車に踊らされていくだけ……。 泥沼にハマるように。 圭一の言うことは何でも聞いてあげるようになったし、あげたいと思うようになった。 奴隷の素質十分だ。 レナのように夕食を作りに行ってあげたこともあったし、そうなると当然、あっさりと身体も差し出していく。 そんな知識も経験もないくせに、自分は年上だからとまだ童貞(知恵はそう思っていた)の圭一をリードしようなどと身の程知らずに考える。 彼が喜びそうな言葉はなんでも口にしたし、身体にも奉仕していく。 色 々 シテあげた。 そして頭の良い彼女は回数を重ねるたびに学習していき、すぐに圭一を人並み以上にきもちよくさせる術を身につけていくのだ。 真面目な性格の知恵は、セックスに関してもそうだったというわけだ。…………笑えない。 そしてその頃には知恵は前原君とは口にしなくなり、二人っきりの時は圭一と呼び捨てにするようになる。 すっかり恋人気分だ。 当の圭一は自分をメス奴隷としか見ていないというのに、本当に愛されてるな~♪などと勘違いしていく。 彼が卒業したら、結婚をほのめかしてみようかな……? などという、ロマンチックな人生設計まで立ててしまう始末。 前原留美子。 その単語をしきりに頭に思い浮かべながら、その気恥ずかしさにベッドで体をバタバタさせながら眠る夜もあった。 生まれて初めてできた、愛しい人。 ずっと一緒にいたいと思える、大切な人。 まさにその時の知恵は、幸せの絶頂だったのだ。 ……だが、そのあたりから圭一の態度がおかしくなる。 ひどく冷たくなる。 放課後にはすっかり自分を相手にしてくれなくなり、部活メンバーと頻繁に遊ぶようになる。 もちろんそれまでも部活自体はしていたのだが、それが終わると必ず職員室に寄ってくれたものだ。 そしてまだ仕事を続ける自分の傍にいてくれて、終わったら一緒に家まで帰るときもあった。 ……それがなくなった。 ぱったりと。 最初はただ、彼は忙しいだけなんだ…と都合よく考えた。 圭一は村の人気者であるし、恋人の自分ばかりにかまけろというのも女の身勝手だと思った。 こんな時まで、いちいち真面目にそう考えた。 ……だが、やはりおかしいと気づく。 学校が休日の日にも仲間と遊んでいるようだし、何より電話一本よこしてくれない。 恋人として一言も言葉を交わさない日々が続き、せいぜい授業中に生徒と教師としての会話くらいしかできなくなり、前原君としか呼べない自分にとてつもない寂しさを感じていった。 そしてついに、彼に直接こう聞いてしまった。 どうして会ってくれないの? どうして……抱いてくれないの? と。 圭一は何も答えてくれなかった。 何かを企んでいるのか、その顔にうっすらと冷笑を浮かべると……知恵の話を無視するようにまた部活メンバーの元に去っていってしまう。 彼の体にしがみついてでも聞こうと思ったが、生徒と教師という壁が世間の目を気にさせた。 そうしてただ無視されるだけの日々が続き、たちまち知恵の心にはとめどない悲しみが募っていく……。 自分にどこか落ち度でもあったのか。何気ない一言で彼を傷つけてしまったのではないか。一晩中、何日も何日も、寝ずに考えた。 それでも答えはでなくて……でるわけもなくて。 真面目な知恵は悩みに悩みに悩みぬいて、そうすれば絶対に『答え』が出ると思っていた。そしてついに、その愚かな結論に達してしまう。 ア ノ オ ン ナ タ チ カ ? チエルミ調教日誌 壱に続く……。 -
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それでも彼女が好きだから どうしたんだろう? レナの奴、やたらと風呂が長い気がする。それとも、女の子のお風呂っていうのは長いっていうし……やっぱりこんなものなのだろうか? ふと、壁に掛けられた時計を見る。……もう、かなり遅い時間だ。そろそろレナの家に電話した方がいいのかも知れない。 い、いやいや待て? でもどうやって説明する? Q:「レナは今どうしてるんですか?」 A:「お風呂に入ってます」」 Q:「今、御両親はどちらに?」 A:「東京に行って留守です」 こんな事答えたら俺、下手すれば殺されないか? お、落ち着け前原圭一。クールに、クールになるんだ。相手だって人間だ。落ち着いて誠意を持って事情を説明すれば、きっと分かってくれるはずだ。だって俺はやましいことは何一つしていないんだからなっ!? ああ、しかしレナ、早く風呂から上がってくれえええぇぇ~~っ!? 俺は思わず頭を抱えた。 ――と、風呂場の方から扉の閉まる音がする。よ、よかった。どうやらもう出てきたみたいだな。 俺は安堵の息を吐いた。 とたとたと足音が近付いてくる。 「よおレナ、湯加減はどうだったよ? ……って、どうした? そんな顔して? しかもそんな…………格好で」 再び俺の前に姿を現したレナは、タオル一枚しか身に付けていなかった。しかも、その目はとても決意に満ちていて、でもどこか虚ろで……。 俺は目を丸くする。 レナは無言で、薄く笑みを浮かべながら俺に近付いてくる。 「ちょっ!? ……ちょっと? おい? レナっ!?」 俺の目の前で、唇を震わせながら、レナが立ち尽くす。 その顔は風呂上がりということを差し引いても、赤かった。 「………………レナ?」 俺が彼女の名前を呼ぶと、レナはポツリと口を開いた。 「ねえ圭一君? レナね。……お願いがあるの。冗談なんかじゃない。本気の本気。こんなこと言ったら、圭一君はきっとレナのこと軽蔑する。でも、それでも頼みたいの」 「ああ……なんだよレナ? それと……俺は何を言われようとレナのことを軽蔑なんてしないぜ? 何て言っても、最高の仲間の一人なんだしよ」 けれど、何がまずかったのか益々レナの表情が重く歪んだ。 「……仲間…………か。うん、そうだったね。分かってたよ」 そして、見ているこっちの胸が痛むような笑みをレナは浮かべた。 「ありがとう圭一君、それじゃあ言うね?」 ふっと、レナが小さく息を吐く。 “圭一君、レナを抱いてくれない?” …………え? レナ? お前さっき一体なんて言った? 「おいっ!? レナっ!?」 レナが何を口走ったのかはよく分かっていない。けれど、分かってなくても俺は思わずその場に立ち上がった。 レナの両肩を掴む。 「さっき言った事って……どういう意味だよ?」 そりゃあ、俺だってレナのことは可愛いと思う。よくないことだって分かっていても、妄想してしまうことだってある。けれど本気でこういうのってのは……。 「そのままの意味だよ。圭一君、レナを抱いてくれない?」 「あ、…………あの……その……。ええっ!?」 俺はあまりにも突然の……この現実離れしたレナの台詞に、もう頭の中がぐちゃぐちゃだった。本気でこれが夢か何かのような気がしてくる。 そんな俺を見て、レナが苦笑する。 「やっぱりダメかな? そうだよね。いきなりこんなこと言う女の子なんて、圭一君だって嫌だよね。それも、レナみたいにこんな大人っぽくない体じゃ仕方ないよね。魅ぃちゃんや詩ぃちゃんみたいにスタイルよく無いもんね」 違う……違うからレナ。そんなことないから。そうじゃなくて……。 俺はただ、首を横に振ることしか出来ない。 「どうしたんだよレナ? どうしていきなりそんなこと言うんだよ? 俺は…………レナのことが好きだ。好きだけど、でもだからってこういうのはさ……」 ああくそ……一体どう言えばいいんだ? 俺はレナを拒絶したい訳じゃない。けれど、どう言っても……。 「だ、だから……さ。その……本当に、どうしてなんだ? 俺が聞きたいのはそれだけで……」 しかし、俺が懸命に断る理由を探そうとすればするほど、レナが寂しそうな瞳で俺を見詰めてくる。無言で、今は何も聞かないでくれと訴えてくる。 その瞳が、見ている俺の胸を締め付けてきて……。 それが、俺の頭の中にある何かのスイッチを切り替えさせた。 結局……俺は深く息を吸って、レナを抱き締めた。何故なら、いまここでこいつを抱いてやらないと、もう二度と笑ってくれないような気がしたから。今にも壊れてしまいそうな不安が俺を襲ったから。 「……本当にいいのかレナ? 俺なんかで」 「………………うん」 俺の胸の中で、レナが頷いた。 そして、柔らかくて小さな彼女を力一杯抱き締めた後、俺はレナの体を離した。 もう一度レナの肩に手を置いて、その小さな唇へと顔を近付けていく。 「んっ」 レナの唇は、柔らかくて、温かくて、むっちりと俺の唇に吸い付いてきた。その肉の感触が生々しくも心地いい。 ああ、キスってこういうものだったんだな。 目を閉じながら、優しく唇を押し付け合う。 「んんっ……ふぅっ!?」 俺は少し口を開いて、レナの口の中へとしたを挿入する。 レナも少し驚いたようだけれど、すぐに応じてくれた。互いに唇を貪り合い、舌を絡め、唾液を啜る。 くちゅくちゅと、いやらしい水音が俺達の頭の中に響いた。けれど、それを嫌悪するどころかますます本能的なものが刺激され、互いを追い求めていく。 窒息しそうなくらい、俺達はもうこの行為に夢中になり始めていた。 俺はレナの肩から手を下ろしていき、バスタオルに手を掛けた。 ばさりと音を立てて、あまりにも呆気なくバスタオルが床に落ちる。 もう、これでレナを覆うものは何も無い。 互いに生まれたままの姿で、たっぷりと互いの唇を貪り続けていく。 ……と、不意にレナが俺から唇を離した。 「圭一君のも、脱がすね?」 上目遣いで見上げるレナに、俺は頷いた。 ぷつりぷつりと、パジャマのボタンが外されていく。俺の目の前には全裸のレナ。彼女によってパジャマが脱がされていくという事実ただそれだけで、俺の体にぞくりとしたものが湧き上がる。 上着も脱がされ、ズボンも……そしてパンツも下ろされて、俺のものが露出する。レナの目の前で、それはヒクヒクと脈打っていた。 「……あっ」 それを見て、レナが小さく驚きの声をあげる。 そして、レナはじっと俺のものを見詰めた。その様子から、何をしようとしているのか、だいたい想像が付く。 「無理……しなくていいんだぜ?」 「ううん、そんなこと無いよ」 けれど、レナはほんの一瞬躊躇しただけで、首を横に振った。 「はふっ……んっ」 俺のものがレナの口の中に収まる。 レナが……あのレナが俺のものを口にくわえている。時折当たる歯が、どうしようもなく確かに、レナが口で俺のものを愛しているという事実を伝えてくる。生暖かく粘っこい感覚が俺のものを包み込んできて、それがまた気持ちいい。 「んくっ……んんっ……ふぅっ」 レナの舌が俺の亀頭を舐め回し、頬をすぼませて吸う。 上手いのかどうか何てのは知らない。けれど、懸命なその姿が見ていて胸を締め付けた。 自然と俺の口から呻き声が漏れる。 「あぁっ……くっ、気持ちいいぜ。レナ」 俺は荒い息を吐きながら、レナの髪を撫でた。その瞬間、ほんのちょっぴりだけど、レナの表情が和らいだ気がした。 湿ったレナの髪は細く滑らかで、まるで子猫か子犬に触れているような気になる。……優しく撫でてやると、不思議と気持ちが落ち着いていった。 「……レナ。今度は俺もその……レナにしてみたいんだけどさ。いいか?」 「え? ……うん、いいよ」 俺がそう言うと、どこか物足りなさそうな……それでいて自分が奉仕されるんだという期待の色が混じったような表情をレナが浮かべた。 レナが俺のものから口を離すと、唾液が銀色の糸を引いた。 「でも……どうすればいいのかな? かな?」 「そうだな。とりあえず、そこで立ってくれよ」 俺の言葉に従って、レナが立ち上がる。 そして俺はあらためてレナの生まれたままの姿を見る。未成熟とはいっても、それは言い換えると成長途中な熟し始めの果実。健康的で白い肌に、引き締まった太股。……そして、ふっくらと美しく双丘が盛り上がっていた。 やっぱり、女の子なんだよな……。 そして、それを見ていきり立つ自分の本能に、どうしようもなく俺は雄なんだと再認識させられる。 俺はごくりと喉を上下させた。 「じゃあ……いくぜ?」 「う、うん……」 俺はレナが頷くのも見ずに、レナの胸へとむしゃぶりついた。両腕をレナの背中に回して、愛撫する。レナの温もりが……レナの柔らかさが、愛おしかった。 「あっ……はぁっ。うっ……んんっ」 欲望の赴くままに、俺はレナの乳首に吸い付く。舌で乳首を転がし、唇で甘噛みして愛撫する。張りのある弾力が気持ちいい。舌触りも滑らかで、実に……こういうのも美味って言うのだろうか? 「はぁん……くっ……圭一君。そ、そんなっ!?」 俺はレナの胸を口で責めながら、手をレナの股間へと伸ばしていく。レナの秘所に指を添えると、レナの体がびくりと震えた。 へえ……ここってこんな風にふにふにというかぷにぷにというか……そんな感じだったんだな。初めて知った。そりゃまあ……キスもフェラも胸も……全部が全部初めてなんだが。 レナの割れ目をなぞるように、俺はあてがった指を上下させる。 「はぅっ……んっ……くぅんっ」 愛撫を続けていくにつれて、レナの声に含まれる甘さが増した気がする。 なるべく優しくって思っているけれど、こんなのは俺も初めての経験で……俺のやっていることっていうのは、きっと拙いものなんだって思う。 けれど、それでもレナが……少しでも感じてくれてるみたいで、それが何だか嬉しかった。 あっ……今、レナの体が軽く跳ねた。 「レナ? ……その……気持ちいいか?」 一旦、レナの胸から顔を離して訊いてみる。 「は……うぅ。ん……んんっ」 レナは目を瞑りながら、首を横に振る。 その姿が、どうにもいじらしいと感じさせた。 「そっか……」 俺はそんなレナを見ながら、微笑む。 指の先に、粘り気のある感触が混じった。 きゅっと強ばるレナの太股から手を離して、しゃがみ込む。 「……け、圭一君? やだ……やだよぅ。そんなとこ……見ないで」 「綺麗だぜ、レナ」 それが俺の嘘偽りの無い感想だった。 幾重もの恥毛に覆われた秘部は、ともすればグロテスクな見た目かもしれない。けれど、俺が自分のものを見て異様だとは思わないように……いや、今の俺にはレナのすべてが愛おしかった。 「ひゃぅっ!? ……んんっ……あぁっ……」 俺はレナの秘部に唇を当て、舌で愛撫した。とろりとした愛液が俺の唾液と混じって、それを舐め取っていく。 「だめ……だよ。圭一君、そんなのって……汚いよ。はぅ……うぅ」 何言ってるんだよレナ? お前だって俺のものに同じ事をしただろ? お返しだって。 俺は何度もレナの秘唇にキスをして、レナの中へと舌を挿入する。濃密なレナの香りに、俺の意識が痺れそうになる。 「はぁ……はぁ……。あぁ……はぅうぅ……ん」 俺の頭の上から、レナの喘ぎ声が振ってくる。甲高くて、くぐもっていて、嗜虐心を……それだけで男の欲望を猛らせてくる雌の鳴き声。 ぞくりとしたものが俺の背中を駆け上がってくる。それをもう、これ以上押しとどめるのは限界だと、俺の中のもう一人の俺が囁いてきた気がした。 ……俺はレナの秘部から、顔を離した。 「レナ。……横になってくれ。その……さ……」 「……うん」 レナは荒い息を吐きながら、お風呂場から持ってきたタオルの上に横になった。 つまるところ……その意味はレナも、初めてという意味で……。 体が熱い。頭が熱い。俺がレナの処女を散らすという悦びと、その意味の大きさに身が竦みそうになる。 ゆっくりと、俺はレナの上に覆い被さっていく。 レナを見下ろしながら、もう一度だけ訊く。 「本当にいいんだよな? レナ?」 レナは顔を赤らめながら頷く。 ……どのみち、ここまで来て止めるなんて真似、出来そうになかったけれど……。 レナの花弁は、俺のものを迎え入れようと、花開いて潤っている。入り口は、すんなりと探り当てることが出来た。 「…………あっ…………はぁっ」 俺のものがレナの膣内へと侵入していく。狭い隙間をこじ開けるように……強引に……。 きゅうっと、痛いくらいにレナの膣壁が俺のものを締め上げた。 「大丈夫か? レナ?」 けれど、本当に痛いのはレナのはずだ。 体を強ばらしながら、必死になって俺の背中に手を回してしがみついてくる。 自分は平気だと、何度も頷くけれど……。 俺はまた、いつものようにレナの頭を撫で、それから額にキスをした。 「ごめん。……動くからな?」 「…………うん」 動くといっても、激しくは出来ない。レナの方もそうだけれど、俺だって激しくしようものなら、今すぐ果ててしまいそうだから。 レナを抱き締め、肌と肌を摺り合わせる。 狭いけれど、それでも俺のものを温かく包み込むレナの膣内が、どうしようもなく気持ちいい。 痛くて痛くて苦しいほどに俺のものが、レナの膣内で固く膨張し、存在を誇示している。レナの膣壁を擦り上げるたび、俺のものがびくりと脈打つ。粘っこいものを結合部で感じるたびに、意識が遠のきそうになる。 「くぅ……んっ……ん……」 俺の下で、レナが喘ぐ。 その声には、痛々しさよりも甘味が混じっているような気がした。 「レナ……俺はお前のこと、本当に……」 俺は腰を振りながら、レナの名前を呼ぶ。 ……何故だかよく分からないけど、涙が出た。 どうしてこんな事をしているのか、自分でも分かっていたはずなのに……。 強引に意識を今の営みに戻していく。……ダメだ。さっきのような思考はダメだ。そんなことを考えたら醒めてしまう。 「レナ。気持ちいいぜ。本当に凄く気持ちいい」 「……うん」 レナが嬉しそうに頷く。 俺は喘ぎながら、レナの膣内を掻き回し、そしてレナを感じる。 今俺が胸に抱いているこの想いが届くように願って……何度も自分の分身をレナの奥へと打ち据える。 そんなつもりはなかったけど、どうやら今まで俺はSEXをただの肉欲だと思っていたようだ。けれど違う、実際にレナと交わってみて、コミュニケーションだっていう意味が、少しだけ分かった気がした。 ああ……レナともっと深く交わり合いたい。一つに溶け合うところまでいきたい。 熱く痺れる俺のものが、限界を訴えてくる。 「はぁ……ああぁっ……くぅん。圭一君……圭一君」 「レナ……レナ……」 いつしか、俺達は互いの名前を呼び合い、リビングに嬌声を響かせていた。 レナが俺の腰に脚を絡める。 「はぁっ……あっ……………ああああああぁぁぁっ!」 そして、俺はレナの中に射精した。 レナが俺の迸りをその身に受けながら、身悶えする。 「……はぁ…………圭一君のが……温かいよぅ」 陶酔したように、レナが呟く。 俺は、無言でレナを抱き締めた。何処までも強く……そして出来るだけ優しく。 屹立していたものが萎えてからも、俺はレナを抱き締め続けた。そしてレナは、目を瞑りながら、小さな子供のように俺の胸に頬を押し当ててくる。 「なあレナ。……何があったんだ?」 そう訊くと、レナの体がびくりと震えた。 「…………別に…………何も無いよ」 けれど、レナのそんな台詞は嘘だ。 「じゃあ、何で泣いてるんだよ?」 「……何言ってるの?」 俺の言葉が的外れだと言いたげに、平静な口調でレナが応えてくる。 けれどそれは嘘だ。実際、レナは涙を流して何ていない。けれど、今の俺には分かる。レナはさっきからずっと泣いている。俺の胸の中で泣きじゃくっている。 「ならさ。……どうしてこんな真似したんだ? 何の理由も無いのに、こんなことって……しないんじゃないのか? それに、どうしてレナのお父さんから何の連絡も無いんだよ?」 「それは…………ん……」 レナが言葉に詰まる。 「なあレナ? 俺は……今さらだけど、レナのことが好きだ」 「そんなの……圭一君の錯覚だよ。レナとその……こういうことして、そんな気になってるだけ。私なんて……」 俺は首を横に振る。 「そんなことない。確かに、さっきまでずっとレナのことを仲間だって思っていたし、それだけだと思ってた。世界で一番大切な仲間の一人だって思ってた。……そう思い込もうとしてた。でも違うんだ」 俺の腕の中にいる温もりが愛おしい。 「俺は、レナのことが好きだ。……好きだから抱いたんだ。大切だっていうだけだったら、そんなことしなかった」 「……嘘だよ」 「嘘じゃねえ」 「嘘だよ。だって私は……そんなのじゃ……ないもの」 レナの声が震える。 「私は……私は、圭一君が思っているような、そんなつもりなんかじゃないの。もっと狡くて、卑怯で我が儘で……本当の私を知ったら圭一君、絶対に軽蔑するくらい狡いもの。……今だって、こんなこと言って同情を誘って……本当に、汚いんだもの」 俺はレナの髪を撫でる。少しでも彼女が落ち着くように……。 「構わねぇぜ。それでも……たとえどんなでも、レナはレナだ。言っただろ? 俺は絶対にレナのことを軽蔑なんかしない。俺を……信じてくれ」 どこか嘲笑うように、レナが息を吐く。 「馬鹿だよ、圭一君。本当に馬鹿。……そしてやっぱり狡くて非道い。自分で全然気付いてないのも狡い」 レナの声に熱がこもっていく。 「そんな風に言われたら、レナがどう言えばいいか分からなくなっちゃうじゃない。レナが圭一君に比べて、ますます嫌な人間になってしまうじゃない。何も知らない圭一君を騙して弄んで……それだけなんだっていうことになっちゃうじゃないっ! 愛してる? 綺麗事言わないでよ。ああいうことさせてくれる女の子を……レナをそうやって繋ぎ止めて、あわよくばまた……って考えてるだけなんだよね? いいよ? それならレナも同じだもの。だってレナは……私は……」 レナの口から嗚咽が漏れる。 「……圭一君を利用したんだの」 「……ああ」 何となく、気付いていた。気付いてしまっていた。 でもそれでも構わなかった。邪な気持ちが全く混じらなかったかと訊かれれば嘘になるのかもしれない。けれど、それでも……ほんの少しでもレナの心の隙間を埋めることが出来るなら、それでいいと思った。 だから俺は、敢えてレナの誘いに乗ることを決断した。リスクだって覚悟の上で。 「どうしてこんなことをしたのか、レナにもよく分からない。お父さんがね……離婚してから、ずっと家でごろごろしていて……でも、いつの頃からか水商売の女の人と仲良くなって……最近は夜に外出することも多くなって……金遣いだって荒くなって……」 「……うん」 「どうすればいいのか分からなくなって……何だか、色々と忘れたくて……でも忘れられなくて、落ち着かなくて、体がざわざわして……。こういうことすれば、ちょっとは忘れられるかなって。……どうせお父さんだってやってるんだしっ!」 レナの涙が止まらない。 「最初はそんなつもりじゃなかった。ただあの家に帰るのが嫌だった。圭一君と一緒にいたかっただけだった。でも……でももう、何が何だか分かんなくて……」 レナの悲しみが止まらない。 そして、そんなレナを見る俺の悲しみが止まらない。 「あははは……。じゃあ、もうどうでもいいや……お父さん、どんどんお金遣ってる。きっとそのうち、一文無しになっちゃう。それならレナ、圭一君の子供作ってしまおうか? 子供が出来たら、圭一君も責任取らなきゃね? レナと結婚して……それで――」 それから先をレナは続けなかった。 「それで」……俺の家のお金で、面倒を見てもらおう。もし続きをレナが言うとしたら、きっとそんな言葉だったのだろう。 「ごめん……なさい。本当に……ごめんね。圭一君」 泣きじゃくりながら、レナはごめんなさいを繰り返す。 「いいから……それでもいいから……。それでも俺は、レナのことが好きだから。今まで、そんなレナの苦しみに気付けなくて……本当にごめん」 そして俺は、一緒に涙を流した。 それからその晩、俺達はこれからどうするかを話し合った。まずはレナの家の問題、そしてもし、本当にこれで子供が出来てしまったときの問題。 一つ目の問題は、泣いて少しは落ち着いたのか、結局……レナはほとんど自分で、何をどうするべきかを決断した。俺もちょっとは提案したけど、でもほとんど相づちを打つことくらいしかすることがなかった。それでも、レナの支えにはなれたみたいで、嬉しかった。 二つ目の問題は……もう、レナを抱いたときから覚悟を決めていた。俺にとってレナは何よりも大切な存在だ。だから、たとえどれだけ怒られようと、そのときは正直に両親とレナのお父さんに打ち明けて、そして一緒になる。……俺はレナにそう言った。 レナは本当にそれでいいのかと、何度も訊いてきたけど、俺の決心は変わらない。 むしろレナの気持ちの方が、俺には不安だった。でもそれも杞憂だった。俺を利用しただけだと言っていたけれど、その相手に選んだのはやっぱり俺が好きだからだと……そう言ってくれた。 そして俺はその翌朝――今日も、何事もなかったように、待ち合わせ場所に向かった。 レナはいつものように、既に先に来て待っていてくれた。 「おはよ~う♪ 圭一君」 その笑顔は、俺の大好きな……輝くような笑顔だった。 「おう、おはよう」 片手を上げて、駆け寄っていく。 爽やかな朝の日差しと、ひぐらしの鳴く声が、俺達を祝福しているような気がする。 ……ひょっとしたら、これから数日後……もしくは数ヶ月後には、俺達の状況は一変しているのかも知れない。 けれどそれでも構わない。俺はレナをどんなことからも守っていく。たとえ世界が壊れようと……たとえ世界が俺達を許さなくても……それでも彼女が好きだから。 そして今日も俺達は笑いながら、学校へと向かった。 ―END―
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